[新型コロナ] 技能実習生 コロナ禍で出国できず 在留延長の申請進む

小松菜の収穫作業をするシェーンさん(右)と指導する手嶋さん(福岡県久留米市で)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、出国が困難になった外国人技能実習生の在留期間を延ばす制度の運用が始まっている。各地のJAや監理団体は、任期後も実習生が引き続き残れるよう手続きに着手。実習生は就労可能な資格を一時的に得て日本に残れるようになった。福岡県のJAみいは双方を支援するため、延長中の賃金支払い方法などで相談に乗る。(三宅映未、中村元則)
 

「特定活動」手続き支援 福岡・JAみい


 JAみい管内では約100戸の農家が400人前後(3月時点)の実習生を受け入れている。フィリピン、ベトナムがほとんどだ。

 実習生が管内で最も多い久留米市弓削地区。小松菜などを1・4ヘクタールで生産する手嶋忠広さん(58)の畑ではフィリピン人の実習生5人が学ぶ。そのうちの一人、シェーン・メイ・ガルベーズさん(28)は3月25日に3年の在留期間を終え、帰国する予定だった。しかし、新型コロナの感染拡大でフィリピンは日本からの入国を停止。帰国のめどが立たなくなった。

 手嶋さんは、実習生の監理団体を通じてシェーンさんの「特定活動」の申請を提出。申請が通り、シェーンさんは4月24日から働き始めることができた。「働けて良かった」とシェーンさん。

 手嶋さんは「仮に帰国しても今は現地で働く場がないと聞く。それならここで働いてもらったほうが良い」と説明する。就労資格が得られるまで、手嶋さんは1カ月分の賃金相当の額を自費でシェーンさんに渡した。 5月上旬は小松菜の収穫作業の最盛期に当たる。午前中だけで1人当たり120~130ケース(1ケース4キロ)分の収穫、調製作業がある。一人でも働き手を欠くと、負担が増える。手嶋さんが実習生の受け入れを始めたのは約8年前。家族やパート従業員もいるが「実習生がいなかったら今の面積の3分の1も生産できない」と話す。

 実習生の受け入れや監査を担う監理団体・福岡アグリ協同組合(同県大刀洗町)では、15人の実習生が新型コロナの影響で任期を終えても帰国できていない。いずれも「特定活動」の申請を進め、就労しながら帰国時期を待つ。同組合は「いつ収束するか分からない。受け入れる農家と連携しながら、必要な手続きを進める」と説明する。

 JAでは青色申告の担当部署が実習生関連の相談に対応する。手嶋さんのケースでは、シェーンさんの帰国時期が未定のため、残りの期間は時給制にするよう助言した。手嶋さんの他にも実習生の任期を延長した農家から、連絡や賃金関係の相談が寄せられている。

 営農企画課の増原修一係長は「関連する相談は今後増えると想定している。関係機関から情報を集め、対応を進めたい」と話す。
 

帰国するまで受け入れ 茨城県エコ・リード


 茨城県ではベトナム人や中国人など6378人(昨年10月末時点)の技能実習生が農林業に従事する。JA茨城県中央会が主導して設立した協同組合エコ・リード(水戸市)は、県内でベトナムや中国、タイなど398人を受け入れる。

 このうち県西地区で実習を受けていたベトナム人の男性3人が3年の在留期間を終えて、今月20日に帰国する予定だった。しかし、現時点でベトナムは全ての国からの入国を停止しており、帰国できなくなっている。

 新たな技能実習生の来日もできない状況で、農家からは3人の残留を求める声が上がっていた。このためエコ・リードは在留資格の変更に必要な書類を作成し、東京出入国在留管理局水戸出張所に提出。3人は就労可能な資格「特定活動」(6カ月)を得て、受け入れ先の農家で就労するという。

 エコ・リードによると7月にも帰国する実習生がおり、「出入国の状況次第で対応を考えないといけない」(担当者)としている。県中央会によると、県内のJA関係の監理団体で受け入れる実習生のうち、帰国できず「特定活動」に在留資格を変更した実習生は11日時点で9人。中央会は「帰国できない状況が続くようであれば、今後も特定活動に変更する実習生が増えそうだ」としている。

<メモ>

 出入国在留管理庁は3~6月に在留期間の満了日を迎え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で帰国が困難な実習生に対し、「短期滞在(90日、就労不可)」か「特定活動(就労可)」への在留資格変更を受け付けている。影響の長期化を受け、今月20日からは、「特定活動」での在留可能期間が当初の3カ月から6カ月に延びた。20日以前に延長申請をした実習生についても再申請できる。

 国は4月下旬から、雇用先の経営不振などで雇い止めになった実習生に対し、希望職種への再雇用支援も始めた。農業関連は農水省に情報を集約し、JA全中などを通じて監理団体やJAなどに情報を送り、マッチングを促進する。

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