19年度 豚肉自給 最低48・6% 牛34・6% 輸入増加響く

 2019年度の豚肉の自給率(重量ベース)が、過去最低の48・6%だったことが、日本農業新聞の調べで分かった。国内の生産量は微増したものの、輸入量が過去最多だったことが響いた。牛肉も34・6%と2000年度に次ぐ低さ。足元では、新型コロナウイルスの影響で食肉貿易には不透明感が漂う。海外情勢に左右されない安定供給体制の構築に向け、自給率向上の重要性が高まっている。
 
 農畜産業振興機構がまとめた輸入量と生産量のデータを基に、本紙が自給率を試算した。19年度は、国内生産量が前年度比0・6%増の90万2908トン、輸入量が同4%増の95万3112トンだった。輸入量は、統計のある1996年以降、過去最多となった。

 輸入増の背景には、国内の食肉需要の高まりや、相次ぐ大型貿易協定の発効による関税引き下げがある。大手輸入業者は「中国がアフリカ豚熱で輸入量を大幅に増やしていた影響で先高感が強く、価格が上がる前に多めに仕入れる動きが国内各社であった」と話す。

 国別では、カット品に強みを持つメキシコ産が前年比16%増となるなど関税面でも有利な環太平洋連携協定(TPP)参加国を中心に増加が目立った。4月はカナダ産が初めて米国産を上回るなど主要国同士のシェア争いも激化している。

 輸入量の増加は、国産相場にも影を落とす。各社が調達量を増やした影響で、7月以降、期末在庫は前年を2、3割上回る高水準で推移。国産は加工向けなどで競合する裾物を中心に振るわず、東京食肉市場の豚枝肉の年間加重平均価格(等外)は1キロ357円で前年比4%安。「輸入在庫が下押し要因となった」(市場関係者)。

 牛肉輸入量も過去10年で最多の約62万トンで、自給率は、2000年度(33・1%)に次ぐ低さだった。当時は関税が大きく下がったことなどで急拡大。19年度は関税が、米国が20年1月に38・5%から26・6%に下がり、発効2年目のTPP参加国は冷蔵・冷凍ともに26・6%に下がり、輸入量は増えた。

 豚、牛ともに輸入量は増加傾向だが、新型コロナの影響で、今後の輸入動向に不透明感が出ている。米国で食肉加工場の生産量が減り、自国向けの供給を優先する動きもある。

 新たな食料・農業・農村基本計画では、30年度の1人当たり年間消費量は豚肉が18年度比横ばい、牛肉は同6%増と伸び悩むと見通す。一方、国内の生産努力目標(部分肉換算)は豚肉が2%増の92万トン、牛肉は21%増の40万トンと掲げ、ともに増やすとして、国産のシェア拡大を掲げている。

 国内の生産者からは「コロナ禍を機に、自給率向上の重要性を見直すべきだ」との声も上がっており、疾病対策や輸入品との競合などで疲弊する国内の生産基盤強化が求められる。


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