[未来人材] 36歳。省力化技術で時短従業員派遣も計画 地元酪農家の支えに 北海道真狩村 棚瀬基晴さん

牛舎の牛を世話する棚瀬さん(北海道真狩村で)

 北海道真狩村で乳牛140頭を飼育する棚瀬基晴さん(36)は昨年、就職先の牧場から一部の経営継承を受けた。省力化技術を導入するなどし、従業員の労働時間削減に挑戦する。地域酪農を守っていける存在になることが夢だ。

 棚瀬さんは岐阜県瑞穂市出身。もともと動物が好きで獣医を目指していたが、岐阜農林高校で酪畜の魅力に気付き、北海道の酪農学園大学(江別市)に進学。酪農を学んだ。卒業後は母校で講師をしていたが、酪農の楽しさを忘れられず、2009年からニセコ町の高橋牧場に就職した。酪農の魅力について「同じ牧場でも牛によって個性がある。変化のある毎日で楽しい」と笑顔で話す。

 「自分ならどうやって収益を上げるか毎日考えながら仕事をした」と振り返る。15年には真狩村にある第2牧場の牧場長に就任。JAにノウハウの相談をしつつ、19年に同牧場の経営継承を受けた。

 従業員は大学の同級生の菊地窯平さん(38)と中国人2人。牧場内の寮で生活し、母親の美佐子さんが寮母を務める。

 飼料は全量をTMRセンターのものを使用。午後10時まで明かりをつけ、牛が餌をたくさん食べられるようにするなど工夫をし、月の乳量は平均して、初年度から全道平均を最低でも1200キロ上回る1万1000キロを超し、売り上げは1億1000万円に上る。また、4歳のホル牛が全道の共進会で1等4席に選ばれた。

 地域の酪農家に積極的に話を聞きに行き、分からないことは聞いた。「(高橋牧場の)親方や周りの酪農家、JAがサポートしてくれた」と話す。高橋牧場では、理想を持って地域の酪農を守っていこうという姿勢を学んだ。現在は、スマートフォンで牛舎を監視し分娩(ぶんべん)を早期に把握できるようにし、今後は自動給餌機も導入したりして、労働時間削減を目指す。

 棚瀬さんは削減した時間を使い、日中に自身や従業員らが地域の担い手不足に悩む酪農家の手伝いをできるようにしていきたいという。また、「いつか就農希望者なども受け入れ、後継者を育成しながら地域の酪農家に派遣し、新規就農や経営移譲などのきっかけづくりができるようになりたい」と見据える。
 

農のひととき


 同じ牛でもそれぞれ個性があり、毎日変化が多いため、接していて楽しい。特に子牛が生まれる瞬間は特別だ。成長して行く中で徐々に日乳量が増えていく過程を見ることが好きで、最近はバルククーラーにどれだけ生乳が入ったかを確認することが大きな楽しみになっている。一方で、廃用牛など牛の死に立ち会う際は胸が苦しくなるが、向き合うことは大切だ。今後の糧にしている。
 

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