[あんぐる] さざめき 聞こえますか もち麦の秋(福井市)

もち麦「はねうまもち」の収穫。黄金色の麦畑をコンバインがゆっくりと進む(福井市で)

 初夏の風が黄金色に輝く穂を揺らし、乾いた音を鳴らす。六条大麦の作付面積が全国一を誇る福井県が5月下旬、麦秋を迎えた。生産者は収量と品質に手応えを感じながらコンバインを走らせる。中でも、もち性大麦の「はねうまもち」に注目が集まる。機能性食品として人気が高まり、生産量が急増している品種だ。
 
 もち麦は、コレステロールの低減効果が期待される食物繊維のβグルカンを多く含み、健康志向の高まりから需要が増えている。精麦メーカーなどでつくる全国精麦工業協同組合連合会(全麦連)は、2020年産もち麦の民間流通量を7629トンと見込む。これは19年産の約1.5倍に当たる。もちもちとした食感が特徴で、米に混ぜて炊くだけで食べられる手軽さが利用を後押ししている。

 「はねうまもち」は、農研機構が16年に育成した寒冷地向けの品種だ。県内では、本格的に栽培が始まった18年産が40ヘクタールだったのに対し、20年産では約20倍の830ヘクタールと急増した。

 福井市の農事組合法人メガファーム鶉(うずら)は今シーズン、県内最大規模の84ヘクタールに作付けした。「ファイバースノウ」から全面的に切り替えて2年目の取り組み。理事の辻脇俊和さん(72)は「従来品種と同じように育てられる。混乱なく導入でき、今年も上々の出来だ」と喜色を浮かべて畑を見回す。
 
写真左=麦の生育具合を確かめるメガファーム鶉の辻脇さん(左)。「今年は天候に恵まれ生育がいい」と話す 同右=刈り取った麦はトラックに移し、JAの乾燥施設に運び込む

 収穫作業は1週間ほどの短期間の取り組みだ。6条刈りコンバイン3台を駆使し、一気に行う。収穫した大麦はJAグループを通し、県外の食品メーカーなどに出荷する。 県内でも地場産原料を使った食品加工が盛んになってきた。県産にこだわる、市内の食品メーカーの福井大麦倶楽部(くらぶ)は「はねうまもち」の精麦パックやポン菓子の販売を昨年から始めた。同社の重久弘美さん(55)は「問い合わせは多い。流行を逃さず、新しい商品の開発に取り組みたい」と意気込む。

 県農林水産部福井米戦略課の担当者は「実需者の要望があれば、JAなど関係機関と協力しながら栽培面積を増やしたい」という。(富永健太郎)

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