家畜放牧制限 疾病拡大の回避重視 再開基準は今後検討 畜舎設置「費用補助も」

 農水省は、家畜の飼養衛生管理基準を見直し、豚熱やアフリカ豚熱、口蹄疫(こうていえき)が発生した「大臣指定地域」で牛や豚の放牧を中止する方針だ。疾病の拡大を防ぐのが目的で、簡易な畜舎の設置を求め、指定解除後は放牧の再開を認める考え。畜舎設置に伴う経費を助成する方針。ただ、再開の基準などは今後詰める予定。生産現場では困惑が広がっており、農家の理解を得ることができるかが課題となる。

 改正案では、「大臣指定地域」で放牧場やパドックなどにおける舎外飼養を中止するとした。口蹄疫や豚熱、アフリカ豚熱などに感染した野生動物が見つかった都道府県を同地域として指定する考えだ。

 昨年8月に中間とりまとめをした同省の豚熱の専門家チームの提言では、野生イノシシが直接ウイルスを持ち込んだことに加えて、他の野生動物が媒介したと指摘している。こうした点から、同省は「放牧養豚は野生動物と接触の機会が増加し、家畜伝染病の発生のリスクが高い」(動物衛生課)とみる。放牧牛では、口蹄疫ウイルスを持った鳥類が飛来して感染することを懸念する。

 一方、牛や豚を放牧している農家の間には「経営を維持できなくなる」と困惑が広がる。

 同省は、指定地域が解除されれば放牧は再開できるようにする方針。ウイルスがなくなるまでの措置という位置付けだが、解除の基準は検討している状況で、まだ決まっていない。

 豚については、豚熱のワクチン接種推奨地域が指定地域となる見通し。岐阜、長野、山梨など24都府県が対象となるが「野生イノシシでの感染が確認されている限り、指定の解除は難しい」(動物衛生課)と話す。再開までどれだけの期間がかかるかは不透明だ。

 放牧中止に伴い、同省は、放牧農場に簡易な畜舎を建てることを想定する。ただ、具体的な構造は検討中。豚舎ではハウスのようなものを活用することも想定するが、強度などの具体的な要件は今後詰める。

 設置費用を巡っては、江藤拓農相は9日の衆院農水委員会で、豚舎について農家負担を実質ゼロにする方向で検討していることを明らかにした。簡易な豚舎を整備した場合、国が半額補助する考えを示した。

 残りの半額も都道府県の補助を通じて「農家の負担がゼロという形でやらせていただければ」と述べた。ただ、牛舎への対応を含め補助の具体的な内容は固まっていない。
 

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