[未来人材] 34歳。セリ、サクランボ「日本一の味」世界発信 “前向き5K”に挑戦 秋田県湯沢市 奥山和宣さん

三関サクランボを栽培する奥山さん(秋田県湯沢市で)

 奥羽山脈に隣する秋田県湯沢市。三関地域は山々から湧き出る冷たい伏流水を使い、セリやサクランボなどをブランド化している。産地をけん引するのは奥山和宣さん(34)。赤く焼けた肌は炎天下での作業を物語る。三関せりの品質向上に取り組む(株)CRASを設立。「日本一おいしい三関ブランドを世界に発信したい」と今日も奔走する。

 奥山さんの発案で、ふるさと納税の返礼品に三関地域のサクランボが採用された。セリ、リンゴに続き、2019年の寄付額は市の総額4分の1を占める。19年にはCRASを設立し、40アールのハウス(18棟)で冬場もセリを安定生産する体制をつくった。

 「努力が成果につながる。自分の追い求めていた仕事だ」と奥山さんは笑顔を見せる。だが自分が就農するとは夢にも思わなかったという。

 農家の3代目。「農業のイメージは3K。絶対に継がないと決めていた」と苦笑いする。固い意志が崩れたのは、地元スーパーに就職し3年がたった頃だ。棚に並ぶ県外の農産物を見るたび、実家の農産物が光って見えた。「宝は足元にあったと気づいた」(奥山さん)。

 片手間で父の仕事を手伝い、受注のメールを開くと「三関サクランボ最高!」「また来年もお願いします」。感謝のメッセージであふれていた。「頑張りが目に見えて返ってくる。これこそが、自分のやりたかった道なんじゃないか」

 就農した11年、早速壁が立ちはだかった。畑の積雪量は4メートルを超し、リンゴの木が雪に埋もれた。「畑を守れるかは自分次第」。吹雪で視界がかすむ中、枝の雪をおろし、最小限の被害で済んだ。やった分返ってくる農業にのめり込んでいった。

 もともとリーダー気質で、相談されることが増えていった。「セリを生産したいが土地がない」「もっとブランドを広められないか」。課題を解消するために若手農家に声を掛け3人でCRASを設立。クラウドファンディングでハウスを建てた。市の共同事業推進課は「若手ながら頼れる存在。三関地域の期待の星」と評価する。

 奥山さんは「こだわり・興味・感動・稼げる・かっこいい――5Kに塗り替えていきたい」と強調する。“宝”をつくり続ける奥山さんの挑戦はこれからも続く。
 

農のひととき


 青年部は89人のうち20、30代が23人。年が近く、これからの三関ブランドについて意見を交わしている瞬間が好きだ。奥山さんの目標は5Kを実現させ、農業を子どもたちに人気の職業にさせること。青年部では食農教育にも力を入れている。湧き水は家庭でも活用している。「この水のおかげで三関せりは約300年の歴史がある」という。
 

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