福田こうへいさん(歌手) 農業と歌 集中力で共通点

福田こうへいさん

 歌手としてメジャーデビューしてからは、親戚に田んぼを任せ、米作りをやってもらっています。牛を育てるのも止めました。子どもの頃から長いこと、農業に携わってきたので残念ですが。

 子どもの頃は大家族でしたね。ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん、おじいちゃん、おばあちゃん、おやじ、おふくろ、姉と私の8人でした。盛岡市で、ホルスタインを飼いながら田んぼをやっていました。飼料をサイロに詰め、田植えの時は、親戚も手伝いに来てくれてましたね。

 野菜も作っていましたが、これは売るのではなく、自分たちで食べる分。近所の人たちと物々交換していました。みんなで話し合ったのかあうんの呼吸なのかは分かりませんが、うちは○○を作り、お隣さんは××を作り、そのお隣さんは△△を作って、野菜を交換し合っていました。
 

格別のおにぎり


 私も農作業をいろいろと手伝いました。おじいちゃんもおふくろも、「おいしいのを食べさせてやるから、ちょっと手伝え」と言うんですよ。うまいこと、だまされましたよね。

 おじいちゃんがホルスタインの爪を切る時に、牛のふんを取る作業をやりました。山仕事をしたり、草刈りをした後の草を集めたり。子どもなりに一生懸命働いて、どんな「おいしいの」が出てくるのか期待していたら、おにぎりだったんですよね、いつも。

 がっかりしつつ食べるんですけど、農作業の後、みんなで外で食べるおにぎりって、格段においしい。まんまとだまされたわけですけど、実はとても良いことを教わったわけです。

 農作業中は皆、ほとんどしゃべりませんよね。口は動かさず、手を動かす。その代わり、休み時間は和気あいあいと話をします。なんのことはないおにぎりと水でもおいしいし、それを食べながらの会話は楽しかったです。
 

趣味は山菜採り


 私は農業と歌には共通点があると感じています。農作業中と歌っている時の集中力は一緒ですね。私は、歌う前には食べないようにしています。1日2回の公演が終わるまで食べませんね。終わってからほっとして食事をします。

 うちでは普段の食事はかなり質素でした。おかずは2、3品あるかないか。盆と正月やお客さんの来る時にドーンと派手にごちそうを出していたんです。

 おふくろは舞踊をやっていたので忙しかったんですが、料理はしっかりとやってくれました。おふくろの作るみそ汁がおいしくって。ジュンサイ、ウルイ、ワラビなどがよく入っていました。秋になるときのこでした。

 山菜はよく食べました。シドケやタラの芽、コシアブラも。私の場合は、食べるよりも採り方が好きですね。

 山菜採りは今でも続けています。趣味といってもいいです。採れるポイントをちゃんと把握しているんですよ。雨が降ったら、どこの場所の山菜の伸びが早いとか、だいたい分かります。

 2層式のリュックサックを背負って行き、7~8キロは取って山を下ります。体力が残っていれば、いったん家に戻ってから、また採りに行きます。

 今日(取材は5月中旬)の朝ご飯のおかずは、タラの芽の天ぷら。1週間くらい続いているので飽きちゃって、二つ食べただけで満足しました。こんなことを東京の人に言ったら、ぜいたくだと怒られるでしょうけど。(聞き手=菊地武顕)

 ふくだ・こうへい 1976年岩手県生まれ。2002年の外山節全国大会と南部馬方節全国大会での優勝を皮切りに、民謡歌手として活躍。12年にキングレコードより、演歌「南部蝉しぐれ」でメジャーデビュー。翌年、日本レコード大賞新人賞を受賞し、紅白歌合戦にも出場。盛岡市在住。「筑波の寛太郎」好評発売中。

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