コロナ禍の教訓 課題検証し次に備えを

 新型コロナウイルスとのこれまでの闘いは、長期の外出自粛をはじめ未経験のことばかりだった。これを今後にどう生かすか。JAグループは課題整理をしっかり行い、第2波・第3波に備えなければならない。

 判断は素早く、迷ったら実行、現場視点、対策は小出しせず大胆に。そして責任は自分が取る──。危機の時の指導者に求められる資質が、今回のコロナ禍で改めて可視化された。一国の宰相ほどではないにせよ、JAのリーダーもまた、危機には重大な判断を迫られる。

 賢人は歴史に学ぶという。次の流行へは準備ができる。これが初発との違いだ。JAが検証すべき課題は「感染防止」「事業継続と職員の活用」「農業者支援」の三つである。

 まず感染防止。「密閉」「密集」「密接」の「3密」回避や手指消毒、マスク着用は徹底されたのか。事業所ごとに点検すべきだ。職員アンケートも有効だろう。細心の注意が必要なのは、外出自粛期間中に来店者が増えた直売所やAコープである。もし感染者が出たら店舗閉鎖と顧客離れを引き起こしかねない。一部JAで入店者の人数制限に踏み込んだケースもあった。信頼性確保を第一にマニュアルを整備すべきだ。

 テレワークが新たな行動様式として普及していくのは間違いない。JAグループ内では大都市部や連合会を除いて導入例が少なかった。代わって広く取り組んだのが、2班編成の交代勤務や職員の分散配置である。職員から感染者が出ても、多数の濃厚接触者の職場離脱による業務崩壊を避ける狙いがある。事業継続という観点でこの取り組みは一定成功したとみられる。

 今後もこのやり方で臨むのか、テレワークを導入するのか、改めての検討が必要だ。その際、意識してほしいのは外部の視線だ。職場は閉鎖空間ではない。組合員・利用者、就活学生、若い職員の親も、JAが感染防止に意を尽くし職員を大事にする職場なのかを見ている。

 交代勤務の導入で浮き彫りになった課題は、自宅待機者の活用法である。一部JAでは本店職員を支店や直売所の応援勤務に充てる例が見られた。今回は事例が少ないが、人手不足に困っている農家の援農に活用する手もある。職員パワーをどう生かすか、事業継続計画(BCP)に組み込んでおくべきだ。

 売り先を失った農業者への支援活動も大きな課題である。今回も役職員の応援購買という従来的な運動が各地のJAで見られる一方、ネットショッピングやクラウドファンディング、動画の支援サイトなど、情報通信技術(ICT)を使った手法が登場した。大学生への米贈与など、支援を通じて生まれた新しい関係もあった。

 販売支援で重要なのは危機対応と同様にスピードである。他業態の動きも研究して、新たな支援策を常日頃から考え、スタンバイしておくべきだ。

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