FTA先進国・韓国の今 栽培面積大幅に減 ハクサイやトウガラシ 伝統食も輸入増

 自由貿易協定(FTA)の先進国・韓国では、農産物の輸入増加に伴い、国内の栽培面積が大幅に縮小している。韓国農協中央会未来経営研究所がまとめた「FTA以降の農畜産物輸入動向」報告書が実態を明かす。

 報告書は、同国が初めて締結した2004年のチリとのFTAの前の4年平均(2000~03年)と直近4年平均(16~19年)を比較・分析した。現在57カ国・地域とFTAを締結したことを踏まえ、輸入割合の高い28品目の農畜産物の輸入動向や、国内の栽培面積を調査した。

 報告書によると、直近4年平均の農畜産物輸入量は年間3570万トンで、FTA前の4年平均に比べ45%増えた。特に、韓国が本家といわれるキムチの原料となるハクサイやトウガラシなど、韓国の食生活に欠かせない野菜の輸入増加が目立つ。半面、国産の栽培面積も大幅に減った。
 

重要品目 抜け道


 輸入増加の要因を見ると、重要品目の抜け道や季節関税効果の薄れなどが挙げられる。

 キムチ原料のトウガラシやニンニクは、重要品目に位置付け、高関税を設けているが、輸入量が急増している。乾燥トウガラシは270%の関税を課しているものの、トウガラシの輸入量はFTA前の4年平均で2万1000トンだったものが、直近4年平均で23万1000トンと11倍に増加。関税が27%と低い冷凍トウガラシの輸入が激増したためだ。トウガラシ輸入量の98%が冷凍トウガラシだ。

 ニンニクも同様で、360%の高率関税を避けて、関税率が30%の冷凍ニンニクが大幅に増えた。

 FTAでは、国産果実との競合を避けるために季節的に高関税を設けている。しかし、貯蔵技術の発展などを生かした業者が周年輸入を進め、季節関税の役割が薄れている。果実輸入量は、直近4年平均で120万トンとFTA前の4年平均の1・3倍に増えた。
 

抑制策は効果薄


 牛肉の輸入量は、直近4年平均で40万9500トンと、FTA前の4年平均の1・5倍増。特に、米国産牛肉の躍進が目立つ。基本関税40%を、米国産は12年から、オーストラリア産は14年から、カナダ産は15年から15年間をかけて段階的に撤廃しているからだ。

 豚肉の輸入量は直近4年平均で55万7100トンと、FTA前の4倍以上に増加した。牛肉と同様に、欧州連合(EU)、米国、チリ、カナダで主に輸入される冷蔵および冷凍豚肉の基本関税(22・5%、25%)の撤廃が進んでいる。

 FTAなどによる輸入増加に伴い、国内の栽培面積も急減した。梨やトウガラシ、ダイコンの直近の栽培面積はFTA前の半分程度に落ち込んでいる。農産物栽培面積全体では、毎年平均4%減のスピードで縮小し、農家経営を圧迫している。
 

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