高い木に登った人が、もう少しで大地に足が届くような所まで降りてきてから、木登り名人は注意した

 高い木に登った人が、もう少しで大地に足が届くような所まで降りてきてから、木登り名人は注意した。「けがをするな。気を付けて降りろ」▼飛び降りることもできる高さなのにと、いぶかっていると名人は諭す。「失敗は、簡単なところになって、必ず起こるものだ」。吉田兼好が書いた『徒然草』の「高名の木登り」である。詰めの大切さを説いた▼中国の史書『戦国策』には、〈百里を行く者は九十を半ばとす〉と書いてある。何事も終わりに近づくほど困難が増す。だから九分通りまで来てやっと半分と心得て、最後まで気を緩めるな、という教えである。それは、国の行方を決める政権運営でも同じ▼「1強」と言われてきた安倍政権の支持率が、各種世論調査で30%台に下落した。本紙モニター調査でも厳しい。農畜産物の自由化政策に加え、桜を見る会の不明朗さと、ここに来てのコロナ対応や、賭けマージャンで辞職した検事長問題が響いたか。説明責任から逃れるように国会を閉会したと思ったら、前代未聞の現職国会議員夫妻の逮捕。憲政史上最長の高みに立ちながらの、不祥事である▼コロナ対策と景気立て直しに、国民の生活が懸かる。先人の教えに、思いを致す時だろう。政権のためより、国民のため。心得違いは困る。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは