JAの政策提案 コロナ禍の教訓生かせ

 JAグループは食料・農業・地域政策の提案をまとめた。新たな食料・農業・農村基本計画の実現に向けた施策を提起。新型コロナウイルス禍の教訓も生かし、食料安全保障の強化と地域経済の活性化を目指す。食と農の大切さが見直されている。提案を踏まえ政府は、農業・農村の振興策を具体化すべきだ。

 新型コロナの国内外での感染拡大で、日本の食料・農業・農村の課題が改めて浮き彫りになった。食料自給率がカロリーベースで37%と低迷する中で、非常時にも食料が安定供給されるのか不安が広まった。外国人の入国制限で、技能実習生をはじめ外国人材に労働力の多くを頼ってきた産地は、営農継続が危ぶまれた。第2波・第3波が起きれば、さらに大きな課題が突き付けられる可能性がある。一方で、密集・密接・密閉の「3密」が起きにくい地方や農村への国民の関心が高まっている。

 JAグループの政策提案は、こうした課題の解決や農業・農村への追い風を生かす施策を提起。7月策定の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)や来年度予算案などへの反映を、政府・与党に働き掛けている。

 食料の安定供給には「国産回帰」の機運を後押しする施策が必要だ。牛肉や花きなどコロナ禍の影響を受けた品目は、生産者や流通・販売事業者が痛手を被った。提案では、こうした関係者が一体で取り組む需要喚起や地場産の活用拡大を支援するよう求めた。輸入物が多い加工・業務用の国産転換では、中間加工業者や食品メーカー、小売り・外食などへの総合的な支援を提案している。

 労働力支援では、国内労働力確保に向けた支援を提起。担い手確保やスマート農業の推進支援、集落営農対策の拡充なども掲げた。

 感染予防で多くの企業がテレワークを取り入れ、職種によっては地方でも仕事ができる可能性が示された。政策提案では、農村は食料安全保障の基盤となるとして総合的な振興対策を求めた。地方経済の回復・活性化につなげる狙いだ。コロナ禍の収束後には、観光や移住などの「地方回帰」を促すことが必要と指摘。遠隔で働ける環境を整え都市で働いていた人を呼び込めれば、農業と他の仕事を組み合わせて生計を立てる「半農半X」などでの移住や、住民以外が地域と関わる「関係人口」の増加の後押しになるだろう。

 国産農畜産物の活用拡大の施策は、基本計画が掲げる食と農への理解を深める国民運動との連動が必要だ。コロナ禍ではJAグループをはじめ多くの産地や企業が、消費が低迷する農畜産物の応援購入を呼び掛け、大勢の消費者が応えた。国産や産地を応援したいとの潜在的な意識が広まっていることがうかがえる。国民運動を始めるまたとない機会だ。早期の具体化が政府には求められるとともに、JAグループも機運を生かす取り組みを進める必要がある。
 

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