改正家伝法施行 病原の侵入官民で防げ

 改正家畜伝染病予防法が今日施行された。海外からの畜産物の違法な持ち込みや、農場での異常を報告しなかった場合の罰則を強化した。新型コロナウイルス対策の入国規制が緩和されれば病原体の侵入リスクが高まる。食料安定供給の視点から、家畜防疫の重要性を消費者とも一体で認識する必要がある。

 今回の改正では、肉製品などの畜産物を違法に持ち込んだ場合、最高300万円(法人5000万円)の罰金、または3年以下の懲役が科される。これまでの100万円以下に比べて格段に重くした。日本政府の毅然(きぜん)とした姿勢を示すことにつながる。また手荷物に関する家畜防疫官の権限はこれまで質問までだったが、今後は検査ができ、違反した畜産物が見つかれば廃棄できる。

 水際の検疫では、ソーセージやハムなど、旅行客による海外からの畜産物の不正な持ち込みが2019年は過去最多だった。日本人も例外ではない。農水省動物検疫所が関西空港で行った調査では、5月から6月10日までの日本人入国者2000人のうち4人が持ち込もうとしていた。機内や出入国時に相当の呼び掛けがあったはずだが、徹底できていない。アフリカ豚熱のウイルス遺伝子は2月8日を最後に畜産物からは見つかっていないが、入国者の減少が要因とみられる。入国規制が緩和されれば、不正な持ち込みをどう防ぐかが課題だ。

 豚熱が18年9月に国内で26年ぶりに発生し、間もなく2年になる。19年10月には豚へのワクチン接種が始まったが、野生イノシシの陽性確認範囲の広がりで、収束を見通すのはまだ難しい。この状況で万一、ワクチンのないアフリカ豚熱の侵入・まん延を許せば、豚肉の安定供給が危うくなりかねない。

 家伝法の改正は今年2度目。最初の改正法は2月に施行された。アフリカ豚熱の侵入リスクが非常に高いとして、議員立法で発生場所から半径500メートル~3キロ以内で予防的殺処分ができるようにした。

 今回は、改正法の施行に合わせて新たな飼養衛生管理基準の運用も始まる。農家には、獣医師などの専門家の意見を反映させた管理マニュアルの作成を義務付ける。病原体の侵入やまん延を重点的に防ぐ区域の設定などの明確化や、野生動物対策の強化が必要になる。

 防疫対策の基本は、病原体が家畜に行き着かないよう幾重にも障壁を設け、すり抜けるウイルスを各段階で減らすことだ。まずは水際対策。畜産物を持ち込まず、持ち込ませない。次は消費の場。バーベキューなど屋外で食べる機会が増える。廃棄などして野生動物の餌にしてはならない。そして、新たな飼養衛生管理基準に基づく農場への侵入防止対策の強化である。

 それぞれの段階で侵入防止への意識を高めよう。農家と行政はもとより、消費者を巻き込んだ取り組みが求められる。
 

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