長野県喬木村 道路寸断、集落が孤立 出荷止まり…不安、焦り 新規就農者も被災「諦めたくない」

通行止めとなった大島阿島線の土砂崩れの現場で迂回路を作ろうと懸命に作業する作業員ら(14日、長野県喬木村で)

 停滞する梅雨前線による長雨で、長野県南部で土砂崩れなどが発生し、農家の経営にも影響が出ている。喬木村では、11日深夜に発生した土砂崩落で大島地区に通じる県道大島阿島線が寸断され、集落が孤立。復旧の見通しが立っていない。収穫期を迎えていた夏イチゴやブルーベリーの出荷ができなくなり、農家は焦燥感を強めている。

 「就農して初めてのイチゴ出荷が、ようやく始まったところだったのに」と肩を落とすのは、柴藤洋希さん(29)。長崎県佐世保市出身で、周年でイチゴを作りたいという夢をかなえるため、昨年5月に夏イチゴの栽培に適した同地区で農業を始めた。村の中心地に住宅を構え、同地区に通いながらハウス10アールで栽培する。土砂崩れは、「サマープリンセス」と「サマーリリカル(長・野53号)」を6月14日に念願の初出荷した矢先の出来事だった。

 「これまでにハウスの建設費などで300万円ほどかかっている。借金が残るだけだ」と話す。夏イチゴの価格も下落。新型コロナウイルスの影響で、例年の3分の2ほどにとどまる。今後、道路が復旧しても、過熟したイチゴの出荷は見込めない。将来は加工品作りや輸出などの展望を描いていた柴藤さん。「収入がないのが不安。農業をやめることも頭をよぎるが、夢を諦めたくない」と歯を食いしばる。

 孤立した同地区は、ブルーベリーの生産が盛んな地域だ。農家約20戸のうち10戸が手掛ける。例年では、6月下旬から7月下旬が出荷シーズンで、観光客の摘み取り体験なども実施していた。農業委員を務める内山実佐男さん(67)は「今の時期が一番の書き入れ時なのに」と唇をかむ。電気は通じているため、予冷庫に入れて保管するが、「満杯になりつつある。一日も早く孤立状態が解消してほしい」と期待する。

 土砂崩れが発生した現場では、迂回(うかい)路の設置工事など復旧に向けて懸命の作業が行われている。県飯田建設事務所の二村謙司維持管理課長は「現場の横を流れる川の水の水量が減らず工事が難航している。厳しい状況だ」と説明する。

 JAみなみ信州喬木支所の原幸雄営農課長は「今後も雨が降る予報。農作物や農地への被害が拡大しないか不安だ」と気をもむ。

 県南信州地域振興局農地整備課によると、管内14市町村の農地や農業用施設の被害は、8日時点で約100カ所、2億円ほどを見込む。同課の市瀬広幸課長は「長雨で被害が拡大している恐れがある」とみている。
 

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