豪雨支援の検討本格化 営農継続を重視 農水省 月内に取りまとめ

 政府は、7月豪雨の被災者の生業再建に向けたパッケージ対策の検討に入った。農林水産関係の被害が出た地域が35道府県に広がる中、江藤拓農相は14日の閣議後会見で、農業分野の支援策は「営農を諦める方が出ないようにする」と被災農家の営農継続を重視する考えを示した。被災地のニーズを踏まえて、月内に対策を取りまとめる方針だ。

 江藤農相は7月豪雨の被害状況として、農産物だけでなくハウスの倒壊や農業機械、食肉処理施設の水没などを挙げた。「被害は全国各地で広がっている」と指摘。被災地の農家は「気持ちが落ち込んでおられるのも当然だし、将来に不安を感じている方も多い」との認識を示した。

 政府のパッケージ対策は、2020年度当初予算の予備費など4000億円以上を活用する方向。農業関係の支援策を検討するに当たり、江藤農相は今回の被害をきっかけに「営農をあきらめ、農業から離れてしまう方が出ることがないよう」早急に対策の中身を詰めるとした。

 国内の農林水産業が置かれている状況として、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「食料安全保障への関心が国民の間で認識されるようになった」とし、国内の食料生産を重要視する機運が高まっていると受け止める。

 そうした時期に、国内生産基盤を担う一次産業の従事者が「離れてしまうことはないようにしなければならない」とし、営農継続を支援する考えを示した。

 農水省は14日現在、被災地に288人の職員を派遣。被害状況の把握や応急対応に努めているが、被害の全容把握にはまだ時間がかかる見通しだ。

 災害復旧の在り方として「原型復旧にとどまらず、次の災害に備えられるやり方が必要になってくるかもしれない」と述べた。
 

農林水被害額219億円 35道府県で


 農水省は14日、7月豪雨による農林水産関係の被害額が同日の集計時点で219億1000万円に上ったと発表した。全国35道府県で被害を確認。水稲や野菜、果樹といった農作物の被害に加え、家畜の水死や農地、ハウス、ため池の損傷などが相次ぎ発生している。調査は継続中で、被害額は増える見通しだ。

 被害額は35道府県の報告に基づき集計した。農産物などで20府県で6億8000万円の被害を確認した。水稲、野菜、花きなどで冠水が起きた。畜産関係では5県で家畜の水死などが発生。鶏、牛など10万頭・羽以上の被害が出た。畜舎や食肉処理施設の損壊など関連施設でも被害が出た。

 農地や農業用施設の被害額は48億4000万円。24府県で農地が損壊。27府県で水路など農業用施設の損傷があった。

 大雨特別警報が出た市町村の防災重点ため池1992カ所のうち1928カ所で点検を終え、熊本、佐賀の計5カ所で異常を確認。大分と京都の防災重点ため池でも計4カ所損傷があった。いずれも人的被害はない。

 林野関係での被害額は155億1000万円に上った。
 

ため池特措法与野党が協議 調査優先度 柔軟に


 自民、立憲民主など与野党は14日、農業用ため池の整備工事を促す特別措置法の施行に向けた超党派協議会を開き、政府への要請をまとめた。決壊時に人的被害の恐れがある防災重点ため池では今回の7月豪雨でも決壊、損傷が発生する中、耐性調査の優先度を決める基準について、地域実態に応じて都道府県が柔軟に判断できる措置を求めた。工事に際し、生息する絶滅危惧種など生物多様性に配慮するよう求めた。

 同法に基づき農水省が定める基本指針への反映を目指す。近く江藤拓農相に要請する方針だ。

 基本指針では、どのため池から地震や豪雨の耐性を調査するかを決めるための基準を設ける。下流に病院や警察署など重要施設がある場合などを想定する。要請では、被害の恐れがある住居の数なども含めて地域実態に合わせて都道府県が柔軟に設定できるよう対応することを求めた。

 工事が集中的に進むよう、事業費や技術指導費用などについて国による十分な支援を求めた。防災対策として、ため池を廃止する工事も想定されることから貯水機能や代替水源の確保、生物多様性への配慮も求めた。
 

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは