日米協定 追加交渉へ圧力 米酪農地帯 大統領選控え議会動く

 11月3日に大統領選を迎える米国で、議会から日米貿易協定の追加交渉を求める声が出てきた。酪農地帯選出の共和、民主両党議員が超党派で一層の市場開放を要求。選挙の勝敗を左右する地域の農業団体などが後押ししているとみられる。新型コロナウイルスの影響で「交渉入りは具体化する状況にない」(日本の外交筋)が、業界の声を受けた議員の圧力がさらに強まる可能性もある。

 米下院の共和、民主両党議員51人は今月上旬、乳製品の市場開放へ、追加交渉を求める書簡を通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、農務省(USDA)のパーデュー長官に宛てて出した。ライトハイザー氏は米議会の公聴会で、追加交渉が「数カ月以内に始まるだろう」との見通しを示していた。

 日本は米国に、乳製品のうちチーズなどを環太平洋連携協定(TPP)並みに開放した一方、バター・脱脂粉乳の輸入枠の設定を回避した。書簡は、TPPなどと同等の成果が得られなかったとして早期の追加交渉入りを迫る内容だ。

 日米両政府間では追加交渉に向けて、「意思疎通はしているが、物事が進む状況ではない」(日本の外交筋)。だが、米国の酪農団体はTPPや日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)と同じ条件を求めており、日米協定への不満がある。早期の追加交渉入りを求めた超党派の書簡も、酪農団体に配慮したものだ。

 書簡に関わった議員の地元で、有数の酪農地域のウィスコンシン州やペンシルべニア州は、製造業が衰退した「ラストベルト」(さびついた工業地帯)として知られる。民主党の支持基盤だったが、前回の大統領選でトランプ氏が軒並み接戦を制した重要州だ。

 酪農家の支持も勝敗を左右する要素になるとみられる。両党とも票固めに向けたアピールとして、追加交渉への働き掛けを強めることもあり得る。
 

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