[新型コロナ] 逆境越え新たな仲間 コロナ禍で農福連携拡大 北海道

ホテル側のスタッフ(右)に教わりながら、JAの共選施設で働く利用者(右から2人目)ら(北海道七飯町で)

 新型コロナウイルス禍を背景に、北海道で農福連携が広がっている。仕事を失った障害者が新たな受け入れ先となった農業現場で活躍。実現には生産者やJAの他、福祉事業所、行政が協力する。コロナ禍の終息後も雇用を継続する機運も高まってきた。(関山大樹、望月悠希)
 

ホテル休業選花で活躍


 七飯町にあるJA新はこだての花き共選施設では、パート従業員がカーネーションを規格ごとに手際よく選別していた。「初めての作業で不安はあるけれど、やりがいがある」。函館市在住の鳴海潤さん(24)は、人手不足の共選施設に加わった新たな戦力だ。

 鳴海さんは障害者らの自立を目標とする就労継続支援A型の事業を行う函館恵愛会の利用者だ。同会が運営しているクレドホテル函館で清掃などの仕事をしていた。しかし、ホテルはコロナ禍で4月下旬から5月まで休業したため、他の仕事を確保する必要があった。

 障害者と共選施設を結び付けたのは、JAと道渡島総合振興局だ。2019年度から農家・施設3カ所で障害者を試験的に受け入れて、課題を洗い出した。今回もJAとホテル側は、障害者がどのような作業ができるか議論を重ね、工夫した。

 例えば、作業がしやすいよう、決まったテーブルで働いてもらう。カーネーションの規格ごとの置き場も一目で分かるようにテーブルには絵を表示した。5月下旬から始まり、現在は1日8、9人が週5回、共選施設に出向く。9月まで働く計画だ。

 ホテルで障害者の仕事をサポートする、窪岡りさサービス管理責任者は「一緒に働く人がおおらかな気持ちで応じてくれたからこそ実現できた」と感謝する。JAは「今年課題を整理し、対応していく。農家にも理解が広がれば、紹介したい」と話す。
 

終息しても継続に意欲


 江別市のてらしま農園も、コロナ禍で仕事を失った障害者を5月から受け入れた。ニンニク畑での除草など、これまで15回の農作業をしている。

 札幌市の就労継続支援A型事務所・イクスクルーの利用者3人を受け入れた。親会社が経営する飲食店で清掃や簡単な仕込み作業をしていたがコロナ禍で店が休業。そこで担当者が雇用マッチングを行うJA北海道中央会に問い合わせ、農福連携が実現した。

 受け入れ農家の寺嶋大貴さん(40)は、青森県から移住し6年前に江別市で就農。3・5ヘクタールでキュウリやアスパラガス、大豆などを栽培してきたが、就農当初から人手不足に悩んでいた。

 当初、障害者の受け入れに不安もあった。だが今は「作業のスピードも早くて助かっている。コロナ終息後も受け入れを継続したい」と評価する。今後は収穫や選果、袋詰めなども作業してもらおうと考えている。

 農作業に参加した利用者の安藤昌之さん(48)は「植物と触れ合うことで作物と一緒に自分も成長している気がする」と話す。

 道は各振興局に窓口を設置して、農福連携の動きを道内全体に広げたい考えだ。
 

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