経済事業支援 収支改善例の共有化を

 JA全中、JA全農、農林中央金庫が、営農・経済事業の収支改善を促す「見える化プログラム」でJA支援を本格化させている。収支改善は、JAグループが力を入れる経営基盤強化の柱の一つ。各連の専門性を生かし、個別JAで着実な成果を上げるとともに、改善手法をグループで共有したい。

 プログラムは、全中・中央会と全農・経済連、農林中金・信連が2018年度から始めた。農林中金は事業分析、全農は解決策の提供などで役割分担し、共同で個別JAを支援することが特徴だ。18、19年度で12JAがプログラムに参加。20年度は全国で18JAが参加を予定し、前年度から倍増した。

 農林中金・信連は場所別・事業別の収支を調べ、課題のある部分を細かく特定。必要な収支改善額も明確にする。事業の改善策はJAから聞き取ったアイデアを基に組み立て、全農の知見を生かして1JA当たり20件弱を提案する。実行した場合の効果額も示す。これを実現するためJAは3カ年の行動計画を立て、各連が実行を助ける。

 肝心なのは、成長・効率化の両面から収益の好転を目指すことだ。効率化一辺倒ではなく、事業の見直しで生じた人員などの経営資源を成長を目指す分野に振り向ける。特に組合員や農業法人への対応力を強化する。農業者の所得増大や農業生産の拡大を通じてJAの成長を目指すとの考えがベースにある。

 あるJAでは、出向く活動の強化で販売取扱高を伸ばすことや近隣地域での重点作物の共同推進、農機・自動車事業の再編など13施策を決めた。出向く活動では、重点的な訪問先農家のリストや聞き取るべき項目を整理。訪問先農家も従来の園芸・特産だけでなく、米穀や畜産にも範囲を広げる。事業間連携のため、JA内で情報共有の場をつくることも決めた。

 収支分析から改善策の提案、JAによる行動計画の策定までプログラムの導入にかかる期間は14週間。この間、各連職員がJAに常駐する。20年度は新型コロナウイルスの影響で開始が遅れたが、上期に取り組むJAでは7月から常駐が始まった。農林中金は担当職員を15人増やして37人とし、参加JAの増加に対応できる体制を整えた。

 導入後は、JA主体で行動計画を実行に移す。各連は合同で計画の進み具合を確認・分析。状況に応じて新たな改善施策の投入も支援しながら、必要な収支改善額を確実に達成するまでJAをサポートする。各連は協働してJAの成長・効率化の実現を目指す。

 農林中金はこれまで、JAに提案した約200の施策をデータベースにまとめた。内容や検討経過を記録し、他のJAの支援で参考にする。プログラムは、23年度までに146JAでの導入を目指す。収支改善の手法や知恵を事例報告などを通じて共有し、各JAで生かせるようにしたい。
 

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