[集落営農 生き残り戦略](4) 「働きがい」で人手確保 次世代にバトン渡す こめ・こめ・くらぶ、エコ・ファームてらお

田植え機を運転する佐藤さんを見守る岩尾さん(大分県杵築市で)

 集落営農の組織運営で課題とされるのは、構成メンバーの高齢化だ。次世代にどうバトンを渡すか──。大分県杵築市の農事組合法人「こめ・こめ・くらぶ」は、若者が求める働きがいを提供し担い手を確保した。
 

賞与2カ月福利厚生も


 同法人は高齢化が進む中山間地で、水稲と麦を作る。従業員の佐藤幸生さん(39)は勤めて今年で8年目。6月は、田植えの受託作業に追われていた。若手のオペレーターとして、欠かせない存在だ。

 
 2006年に法人を設立。経営が軌道に乗り始めた12年、「若手を雇用しないと後々困る」と、人を探し始めた。縁あって佐藤さんを採用。後に40代の従業員も加わり、今年7月には20代も入社した。

 佐藤さんは「工場のような流れ作業ではなく、仕事を工夫できて楽しい」と語る。法人代表の岩尾喜一郎さん(67)は「若い人を雇うには福利厚生や、やりがいが大事」と指摘。法人は年2回の合計で約2カ月分のボーナスも出す。雇用に必要な収入は田植えや稲刈り、乾燥などの約20ヘクタール分の作業受託で確保する。

 若い力は収量や品質にも結びつく。麦で排水対策や麦踏みなどに手を掛け、16年は二条大麦で10アール当たり420キロを達成。県平均同165キロを大きく超え、県麦作共励会で集団の部最優秀賞に輝いた。
 

全員参加で下地つくる


 福井県勝山市。農事組合法人「エコ・ファームてらお」は、豪雪地帯の中山間地で水稲を中心に麦、ソバ、野菜など複合経営に取り組む。冬は常勤雇用が難しいため、作業は組合員が従事分量配当で担う形だ。

 
 法人は若い組合員を育てる戦略を取る。数年前から田植え機やコンバインの講習会を開催。ベテラン組合員が30、40代の若手5、6人に農機の使い方を指導し、大型特殊免許も取らせている。

 若い組合員は普段、福井市などに通勤。土・日曜を中心に作業する。さらに田植えなどの農繁期は平日も若手に加わってもらうため、組合長が若手の勤め先に足を運び「有給休暇を取らせてほしい」と頭を下げるという。

 将来は彼らが集落の担い手になることを期待する。前組合長の松田三郎さん(73)は「10年先も仕事をこなせるビジョンがある。特定の人だけが作業するのではなく、全員参加型だから集落営農を継続できる」と考える。

 法人はサトイモや稲の育苗ハウスを活用してトマトやメロン、マクワウリを栽培する。園芸作物を手掛ける意味について松田さんは「女性や高齢者が活躍できる。今は採算が取れていないが、若手のために技術を残しておきたい」と説明する。次代の担い手が手掛ける新たな水田農業の可能性に賭け、下地づくりを進めている。
 

こめ・こめ・くらぶ


 こめ・こめ・くらぶは21ヘクタールの経営面積で水稲18ヘクタール、麦7ヘクタール、大豆2ヘクタール、ネギ20アール、シイタケ5万駒を栽培。20ヘクタールの作業を受託する。農地の平均面積は約20アールと小さい。
 

エコ・ファームてらお


 エコ・ファームてらおは35ヘクタールで水稲21ヘクタール、ソバ12ヘクタールなどを栽培。露地でサトイモ60アール、水稲の育苗ハウスでトマトとメロンを各2・4アール作る。野菜作業は女性が多い。
 

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