長梅雨、記録的豪雨、台風ゼロ…なぜ? 高気圧 張り出し弱く

 平年に比べて大幅に遅い梅雨明け、異例の長雨と多雨、記録的な日照不足に、7月に一つも発生していない台風──。今年の梅雨時期の異常気象は、太平洋高気圧が列島に張り出さず、梅雨前線が日本付近に停滞し続けたことが共通の原因だ。農家を悩ます異例ずくめの天候の要因を探る。

 今年の梅雨明けは、全国的に平年に比べて遅い。29日の時点で梅雨明けしたのは沖縄、奄美、九州南部の3地域だけ。沖縄では平年より11日早かったが、奄美では1951年の統計開始以来最も遅く、九州南部でも3番目に遅かった。

 九州北部~近畿は近日中に梅雨明けする見込み。東海、北陸、関東甲信、東北は今週いっぱい曇りや雨のぐずついた天気が続き、気象庁によると梅雨明けは8月3日以降になる公算が大きいという。

 梅雨の長期化で、この1カ月、東北から九州の広い範囲で日照時間は平年の4割にとどまった。降水量も被災地以外で平年の2倍以上の長雨、大雨になった地点が続出した。

 今年、台風は6月までに計2個発生したが、7月は29日現在、ゼロだ。統計を開始した51年~2019年の7月の台風発生数の平均は3・9個。同庁によると今月は発生しない可能性が高く、7月がゼロだった年は観測開始以来ない。

 これは、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが平年より弱まったことが大きな理由だ。インド洋の海水温が平年より高くなったなどの気象条件により、太平洋高気圧が台風の発生領域である南シナ海からフィリピンの東海上を覆い、日本付近に張り出さなかった。それによってフィリピンなどの海流活動が活発にならず、台風の原因となる発達した積乱雲を発生しにくい状況となった。

 日本付近では、梅雨前線が長期間停滞し、梅雨の長期化や日照不足を引き起こした。

 九州などを襲った豪雨の要因にもつながった。同庁によると、例年とは異なった場所に位置していた太平洋高気圧の縁が九州付近にあり、縁に向けて暖かく湿った空気が流れ込んだ。大気の状態が不安定になるなどで、積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が形成され、記録的豪雨となった。線状降水帯の詳しい発生要因は分かっていないという。

 同庁によると、8月以降は太平洋高気圧が例年通り日本付近へ張り出す見通しだ。全国的に晴れの日が多くなり、深刻な日照不足は解消に向かう。フィリピン海付近の海流活動も活発な状態となり、台風も発生しやすくなる。

 梅雨明け後は一転して盛夏期を迎え、日中の気温は一気に高くなりやすい。同庁は「水分補給などを十分に行い、熱中症に厳重に警戒してほしい」と呼び掛けている。

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