山形・最上川が氾濫 水田や果樹園被害 大石田町・大江町

最上川が氾濫し、浸水した80ヘクタールの水田を前に、「嫁に来てから初めて」と肩を落とす木村えよ子さん(右)と和夫さん(29日、山形県大石田町で)

濁流 茶色の湖 「うそだ…」


 梅雨前線や低気圧の影響で東北地方では記録的な大雨となり、山形県では28日深夜から29日朝にかけて最上川中流の4カ所で氾濫が起きた。大石田町では出穂直前の水稲約80ヘクタールが冠水被害を受けた他、大江町でも家屋や作業場などに床上浸水の被害が出た。

 

「うそだと言って……」。3日前まで青々と揺らいでいた水田が茶色の湖と化し、同県大石田町の木村えよ子さん(69)は口元を抑え、ぼう然とした。声を掛けてもしばらく動かない。家族5人で実家の村山市に避難し、水田の様子が心配だと夫の和夫さん(69)と2人で戻ってきたところだった。同町横田地区は80ヘクタールが冠水し、木村さんの10ヘクタールも水の中に消えた。

 水田に隣接する畑も冠水し「やんだぐなる(嫌になる)」とつぶやく。今年、娘が就農して一緒にジャガイモを植えた。収穫間近だった。「念願の収穫だったのに。やり切れない」と肩を落とす。

 昨夜、同町の高台にある親戚宅に避難したが、午後7時半に布団に入った直後、消防隊が戸をたたき、危険を知らせた。「嫁に来てからこんなこと初めて」(同)という。

 稲は生育段階で最も弱い穂ばらみ期を迎えている。和夫さんは「冠水で黄化萎縮病が心配。せっかくの米どころなのに」と頭を抱える。和夫さんは用水路の水門管理をしている。排水先の最上川の水位が上昇し、住宅地に流れ込む恐れから水門を閉めたが、予想を超える水量が水路に押し寄せ、住宅に流れ出た。

 29日には雨はやんだものの、最上川の水位が高く水門を開けられない。既に24時間以上冠水しており「なすすべがない」と嘆く。

 同町は水道施設が冠水し、町全域で断水。復旧のめどはたっていない。

 

最最上川が氾濫し、がれきの撤去作業や泥かきをする住民(29日、山形県大江町で) )
 桃の産地、大江町は住宅に濁流が押し寄せ、1メートル浸水した。29日は雨が上がり、地域住民は額の汗を拭い、泥かき作業に当たった。流入した泥は30センチほどで早朝から住民や消防隊が奔走した。

 同町の避難所で一夜を過ごした最上俊春さん(68)は10アールの畑に土砂が流入し、自宅は床下浸水した。最上川の支流である月布川が氾濫し、色付いたトウモロコシは泥をかぶり茶色に染まった。「川の氾濫による被害は3回目。堤防を1メートル高くして整備していたが、またやられた」と憤る。

 被害の全容は明らかになっておらず、県やJAは被災地域を回り確認作業を急ぐ。気象庁は土砂災害や川の増水の注意を呼び掛けている。

 気象庁によると、山形県西川町大井沢で29日午前0時10分までの24時間降水量が平年1カ月分の9割に相当する214ミリを観測。県内の多くの地点で100ミリを超える降水量を観測した。

 山形県農林水産部によると、水田や果樹園への被害はあるものの「詳細については調査中」と説明する。秋田県でも、午後3時の取りまとめで200ヘクタール超の園地で浸水被害が報告されている。
 

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