小林麗菜さん(女優) 作り手と食材に感謝の心

小林麗菜さん

 出身は埼玉県の熊谷です。祖父母が畑や田んぼをやってましたので、食卓には常に自分の家で作った野菜とお米が出ていました。

 幼少期には、祖父母の畑仕事を手伝っていました。見よう見まねで種をまいたり、草むしりをしたり。畑は家の目の前なので、夕方になると母と祖母と一緒に野菜を取りに行って、それを料理に使って食べていました。

 母と祖母の料理はなんでもおいしかったんですが、特に印象に残っているのが祖母が作ってくれたズッキーニのカレー。畑から取ってきたズッキーニを入れたスープカレーなんです。夏になると、よく祖母におねだりしました。
 

米一粒も残さず


 そういう暮らしでしたから、食に対して感謝の気持ちを持つように教えられました。「お米一粒一粒に神様が宿っているんだから、絶対に残しちゃ駄目よ」と。

 私はお米が大好きでしたから、ありがたいという気持ちを持ちながらおいしくいただきました。おかずなしでも2杯くらいペロッと食べちゃうような子どもでした。いまだにその名残はあります。

 18歳で上京しました。一人暮らしを始めると、なかなか食にまで気が回らなくなるものですね。簡単にパパッと食べられることを重視してしまいがちに。母と祖母がいかに栄養バランスを考えて、野菜をおいしく調理してくれていたのか、改めて分かりました。

 食のリポートの仕事をするようになって、全国を回るようになりました。ありがたいことに47都道府県ほとんどに出掛け、おいしい食べ物をいただく経験をしています。「この食材がこういう料理に変身するんだ!」と、自分の知らない食の世界の広さに驚かされます。新たな扉を開けていただいたという感じです。
 

「どぶ汁」に驚き


 一番印象に残っているのは、去年行った茨城県の大洗。どぶ汁と呼ばれるあんこう鍋のリポートですね。

 実は私、この仕事をするまでは、食わず嫌いのところがあったんです。なじみのある食材は喜んでいただきますが、そうでない食材には手を出さない。食べもしないで「好きじゃない」と勝手に思い込む部分がありました。

 その取材をするまで、アンコウを食べたことはありませんでした。なんかヌルッとしているじゃないですか。見た目からして無理だと思っていました。

 どぶ汁という名前にも、ちょっと抵抗を感じましたし、大洗に行く前はどんなことになるかと少し不安でもありました。

 アンコウを解体する様子から見せていただきました。私は実家で野菜の種をまき、水を与え、収穫するまでの過程を見て育ちました。でも魚をさばく様子を見たことはありません。海なし県の埼玉で育ったので、そういう文化に触れることがなかったんです。アンコウをさばくのをちょっと手伝わせていただき、新鮮な感動を受けました。生き物の命をいただくということに、改めて感謝の気持ちが湧いたんです。

 初めて食べたどぶ汁は、とても滋味深く感じました。他のアンコウ料理も取材し、一つの食材でこんなにもたくさんの調理法があるんだと感動。食べ物の奥深さと面白さを知りました。

 食材がたどってきた過程を意識して食べることが、大事だと思います。自分の口に入るまでに、どれだけの方々の苦労があったことか。作り手に感謝し、生き物に感謝し、しっかりと味わうよう心掛けています。(聞き手=菊地武顕)

 こばやし・れいな 1995年埼玉県生まれ。2011年、映画「パラダイス・キス」でデビュー。「王様のブランチ」(TBS)のリポーター、「映画館へ行こう」(CSムービープラス)のメインMC、「ZAPPA」(J―WAVE)の月曜ナビゲーターも務める。映画「めぐみへの誓い」(21年公開予定)で金賢姫役を。
 

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