農高の施設老朽化 整備は次代への投資だ

 農業高校の実習施設が老朽化している。農場の基盤整備や施設・設備などで必要な更新ができていないことが全国高等学校農場協会の調査で分かった。農業高校は次代の担い手を育てる重要な場である。十分な予算措置を国と自治体に求めたい。

 農業高校や農業系の学科を持つ高校の農業実習担当教員らでつくる同協会は昨年度、農場の基盤整備と施設整備の必要性について調査した。農業関係学科を設置しているほぼ全ての372校が答えた。農場の整備が「必要」との回答は8割に上り、施設・設備では整備が「不十分」が9割に達した。さらに8割が、「老朽化しているにもかかわらず更新が十分にできていない」と答えた。ほとんどの学校で不安や不満を抱えながら、実習を続けている。切実な声だ。農業の教育基盤のもろさが浮き彫りになっている。

 気になるのが「圃場(ほじょう)や農場の排水関係」の整備を求める声が最も多いことだ。水田農業の現場では、主食用米だけでなく多様な品目や他の用途の米の実習が求められている。米の需要と価格の安定には水田転作が必要だからだ。水はけの良い農場で学びを深めてほしい。その他、「土壌・土質の改良」「かんがい設備」「農地の整備・統合」を求める声も強い。

 施設では、「新しい技術や指導内容に対応した施設・設備の整備が不十分」との回答が5割を超えた。「スマート農業に対応した施設整備」を求める声が出ている。政府は、スマート農業の導入を強力に推し進めているだけに、現場の声に耳を傾けてほしい。また「安全性」もしくは「衛生上」に問題があるとの回答が多かったのが、「食品製造・加工に関する施設・整備」だ。農業高校は各地で地域の特産品づくりに貢献し、6次産業化の担い手になっている。世界基準に対応できる教育を進めるため、農業生産工程管理(GAP)や危害分析重要管理点(HACCP)に対応した設備を求める声が上がっている。

 同協会によると、国による学校農場基盤整備事業の予算化が廃止されことに加え、産業教育振興費の国庫補助金の削減、地方財政の悪化などにより、予算の確保が難しくなっているという。だが、老朽化している農場や施設・設備を放っておくことは、生徒の安全を守る視点からもあってならない。適正な更新が不可欠である。

 ここ数年、人気漫画の舞台となったり、NHK連続テレビ小説の主人公が農高出身だったりしたことから脚光を浴び、農業と関係のない人も含め、農業高校への関心が高まっている。農業に夢を持ち、進学してくる生徒が落胆するようなことがあってはならない。農業の担い手は、地域の担い手でもある。担い手を育てることは未来への投資だ。惜しんではならない。政府も自治体も農業高校の教育現場の実態と意見を把握し、来年度の予算に反映すべきだ。
 

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