日本で就農…地域に根差す外国人 2カ国の懸け橋に

「日本のお父さん」と慕う水野課長(右)から稲の生育についてアドバイスを受けるイスマイルさん(三重県四日市市で)

 異国の地で就農し、地域に根差して活躍する外国人が各地にいる。三重県で就農し、JA職員を「日本の父」として慕うウガンダ出身のヒゲニ・イスマイルさん(34)、岡山県で地域おこし協力隊として活躍し、糖尿病の多い母国のためステビアを研究、生産するバングラデシュ出身のカリム・ジアゥルさん(46)。将来は「母国と日本の懸け橋に」との思いで両国の発展に尽力する。
 

JA職員父と慕い直売所に野菜出荷 ウガンダ出身 ヒゲニ・イスマイルさん


 四日市市在住のイスマイルさんは、半導体製造に携わるエンジニアとして働きながら、野菜や米を生産、JAみえきた直売所「四季菜」にキャベツやホウレンソウなどを出荷する。手を差し伸べてくれたJA職員を「日本の父」として慕い、「母国の発展に貢献したい」と意気込む。

 イスマイルさんは、21歳の時に日本の技術を学ぶためにウガンダから来日。日本の大学で化学を専攻し、東京で就職した。3年前、三重県への移住をきっかけに就農した。

 幼少期に農業の経験はあったが、就農1年目は散々だったというイスマイルさん。状況が好転したのは2年目。JA担い手支援課の水野誠課長との出会いが全てを変えた。「肥料や防除など栽培に関することから、圃場(ほじょう)のあっせんに至るまで、多くのアドバイスを受けた。直売所も紹介してもらい、生産者として最初の販路も手に入れた」と振り返るイスマイルさん。水野課長を「日本の父親のように思っている」と話す。

 主に栽培面でのサポートを受けるJAの他、もう一人頼れる存在がいる。最初の圃場を探していた時に偶然出会った杉原俊行さん(79)だ。行政の手続きの手助けをはじめ、出荷作業を代行してもらう他、地元スーパーなどへの販路の開拓も行うなど、イスマイルさんにとって心強い味方だ。

 就農当初10アールだった圃場は、現在1・4ヘクタールまで拡大。栽培品目も増え、収穫期には近隣在住のアフリカ出身の友人の協力がなければ手が回らないほどだ。「安定して、年間を通して高品質の野菜を消費者に供給したい」と目標を掲げ、年内の法人化も視野に入れる。

 イスマイルさんは「国を出なければ新たな発見はないと思い日本にきた。農業も含め多くの知識や技術を学び還元することで、国の発展に貢献したい」とウガンダの将来を見据えている。
 

ステビア研究重ね栽培勧め情報発信 バングラデシュ出身 カリム・ジアゥルさん


 矢掛町で、バングラデシュと日本の農業の発展や人材交流の懸け橋になろうとカリムさんと妻のパールビン・ソニアさん(40)夫妻は、同町地域おこし協力隊員として地域活性化に奮闘する。
 
収穫を迎えたブラックベリーを確認するカリムさん(岡山県矢掛町で)
 
 カリムさんは、糖尿病が多い母国で国民の健康に貢献しようと、南米原産で砂糖の代わりに使える甘味作物「ステビア」を政府機関で研究。2003年に研究を深めようと来日。東京農工大学など全国の大学でキノコや竹、ブラックベリーなどを研究し、14年から岡山理科大学で3年、17年から岡山大学で2年、研究を続けた。

 19年からは協力隊として、同町で地域活性化にも取り組む。借り受けた圃場でステビアやブラックベリー、アマランサス、サトウキビ、パパイヤなど多品目を栽培。主に日本人の健康に貢献するため、ステビアやブラックベリーについて「地元の人に知ってもらい、栽培に挑戦してほしい」と町民向けの研究発表に加え、東京のアンテナショップでの講演、地元メディアでもPRする。インターネット交流サイト(SNS)で積極的に情報発信する他、JA晴れの国岡山直売所「きらり」でブラックベリーの苗木を販売する。

 ステビアとブラックベリーは、化学肥料を使わず牛ふん堆肥で栽培。農産物は直売所に出荷する。カリムさんは「直売所のようなネットワークは自国にはなく、農業所得向上に魅力的なシステム。出荷者と情報交換で学べるのも魅力だ」と、日本の良さも学ぶ。

 地元の高校やフリースクールで英語を教える妻の活動もあり、夫妻の活躍は、両国の政治家や大学研究者の目に留まり、留学生来日のパイプ役としても尽力する。

 「人とのつながりを大切に、両国の懸け橋となりながら、両国の農業発展や母国で糖尿病に苦しむ人のためにも町で研究を重ねたい」とカリムさんは将来を見据えた。
 

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