つまもの苦境 少量パック、高級弁当、お節用…新たな需要に活路

農家と相談する横石社長(右)。常に先を見据えた出荷戦略を取る(徳島県上勝町で)

 コロナ禍で旅館や料亭など業務用需要が激減したつまもの産地が、新たな販路開拓に挑戦して成果を上げている。家庭需要を狙った商品開発やスーパー向けの荷姿の多様化、高級仕出し弁当の提案などを強化。ニーズを掘り起こし、活路を見いだしている。

 愛知県豊川市で、つまものを専門に生産する「東三温室農協」。4~6月は飲食店の営業自粛や時短営業の影響で、ハーブや大葉などで販売の中心となる業務用需要が激減し、半値近い取引となることもあった。

 打開に向け、同農協ハーブ部や大葉部はスーパーでの販売に活路を求めた。ハーブ部は県の事業を活用し、6月下旬にハーブティーやハーブサラダを楽しめる2種類のセット商品を発売。市場関係者の意見を聞いて、現在も工夫を重ねながら出荷している。

 農家でハーブ部部長の小玉健太郎さん(39)は「業務向けを全てスーパー向けには変えられないが、経営を続けられる販路確立が必要だ」と見通す。名古屋青果の野村幸市担当も「ハーブのセット商品は比較的少ないので、売り込んでいきたい」と評価する。

 大葉部は、業務向けに1パック100枚入りをレギュラーパックとして出荷してきたが、スーパー向けには小容量パックを用意。さらに内容量で5~50枚に分けて、9種類の荷姿での出荷に挑戦している。

 同農協の周囲には大葉を生産する農協が他に四つあり、差別化のため強化した。その結果、スーパー向けの4~6月の出荷量は前年同期比1・5倍にまで増えた。農家で大葉部部長の前川明さん(50)は「コロナ禍で家庭調理や総菜購入が増えた。スーパー向けの出荷をさらに増やしたい」と意気込む。

 “葉っぱビジネス”で知られる徳島県上勝町。JA東とくしま上勝支所や第三セクター「いろどり」が仕掛け、農家154人が年間300種、全国150市場に出荷する。コロナ禍で売り上げは一時期、前年比3割まで落ち込んだが、「あの手この手の作戦」(いろどりの横石知二社長)で危機を脱しつつある。

 最大の仕掛けが、高級弁当や仕出し料理への活用提案だ。夜の懇親会は軒並み中止になるが、会議は開かれている。そこで、会議後に地産地消の高級弁当を味わってもらう機運を高め、つまものの消費拡大を狙った。

 例えば仕切りにはハランや大ささ、ツバキ葉、器にはレンコン葉、敷葉などを使えば、プラスチックのおかずカップやバランには出せない高級感、季節感が表現できる。

 評判は上々で、農家の西蔭幸代さん(82)は「収入が落ち込んで心配したけれど徐々に回復してうれしい」と手応えを話す。

 料理人らに相談し、旅館や料亭以外の販路開拓も進め、現在は、早くもお節商材の営業を掛ける。海外旅行がしにくい分、お節商材の需要があるとみる。

 コロナ禍を契機にJAや同社は農家と、売り先開拓や注文状況、出荷上限数などの情報共有も強化、産地一体で打開を目指す。横石社長は「新しい生活様式に合わせた需要を開拓し追い風を作る。10月には前年と同じ水準まで取り戻す」と見据える。
 

おすすめ記事

新型コロナの新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは