コロナ感染再拡大 “国難突破国会”今こそ

 新型コロナウイルス感染の再拡大に歯止めが掛からない。感染予防と経済回復とのバランスが崩れたのではないか。国民の不安感が強まっている。コロナ禍の下での7月豪雨の災害復旧も重要課題である。“国難”と言える。臨時国会を早期に開き、政府と与野党で危機突破の方策を徹底論議すべきだ。

 今年の通常国会は、野党の延長要求を与党が拒否し6月17日に閉会した。翌日記者会見した安倍晋三首相は「感染予防と両立しながら社会経済活動を回復させていく」と宣言。都道府県をまたぐ移動自粛を全面解除した。一方、新規感染者数は7月に入り増加に転じた。東京だけではなく愛知、大阪、福岡など他の都市部でも大幅に増え、地方にも広がった。1日の新規感染者が最多を更新している。

 しかし政府は、観光支援事業「Go To トラベル」を前倒しで始めた。感染再拡大が先行した東京都は対象から外したが、感染者が大きく増えても他の地域は除外していない。事業開始が科学的根拠に基づいているかも疑問視される。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は国会で、状況の分析が必要だとして判断に時間をかけるよう政府に提言したが、受け入れられなかったと明らかにした。

 感染拡大で自治体は対策を強化。鹿児島県与論町は来島自粛を呼び掛けた。東京都は、酒を提供する飲食店などに営業時間の短縮を要請。沖縄県は独自の緊急事態宣言を発し、本島での外出自粛を求めた。政府もようやく対策強化の指標づくりを進めているが、緊急事態宣言の再発令には消極的だ。経済回復へのブレーキを避けたい姿勢が透ける。しかしアクセルを踏み込んだままで収束は可能なのか。「両立」を宣言した首相は、国会で説明責任を果たすべきだ。

 新型コロナ特別措置法の見直しも国会で論議が必要だ。課題は補償規定がないこと。休業などを要請しても、補償がセットでなければ効果に限界がある。要請に従わない場合の対応も論点だ。国と自治体の役割分担も整理が求められる。東京都と国は休業を要請する業種で対立。他県への移動や外出の自粛を巡り食い違う場面もあった。

 また、コロナ関連の解雇や雇い止めも4万人を超えた。先の記者会見で首相は雇用を守り抜く方針も示した。実効ある雇用対策を国会で示す責任がある。

 憲法に基づき野党は臨時国会の召集を求めている。3年前も同様の要求を行った。しかし安倍内閣は約3カ月間応じず、開会した日に衆院を解散した。国会を召集しなかったことが違憲かどうか争われた裁判で那覇地裁は、国会召集は憲法上の義務と判断。今回も応じなければ憲法軽視とのそしりは免れない。

 首相は先の解散を国難突破解散と名付けた。コロナ禍と豪雨災害を考えれば今、政治空白は認められない。必要なのは、国難を突破する対策を国民に見える形で論議し、実行することだ。
 

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