水稲作柄データで予測 8月遅場 調査効率化へ 農水省

 農水省は2020年度から、水稲作柄概況調査に衛星データと気象データを活用する。初年度は8月15日時点の西日本を中心とした遅場地帯が対象。従来は実測調査だった。新方式では同省が構築した予測式にデータを当てはめ、10アール収量を推計できるようになる。農作物の作柄調査で衛星データを使うのは珍しく、調査の効率化と精度の向上が期待される。

 農水省は7~9月の3カ月間、全国各地で水稲の生育状況を調べ、作柄概況を発表している。同省職員や専門調査員が現地で草丈や茎数、穂数、1穂当たりのもみ数などを測定する。

 今年からは8月15日時点の遅場地帯で実測調査をやめて、データに基づく予測とする。関東や東海、近畿、中国の一部と四国、九州の27都府県が対象だ。

 遅場地帯では、この時点で出穂が十分でなく作柄の予測が難しかったため、これまでは出穂前後の草丈や茎数を実際に調べ、生育状態を示す「生育の良否」などの発表にとどまっていた。

 新方式は、衛星データで作物の生育量を表す植生指数や、日射量、地表面温度、積算日射量などの9項目を活用する。気象データは西日本の水稲地帯にある約380カ所の地域気象観測システム(アメダス)データから、気温や日照時間、降水量、積算降水量、異常気温など10項目を利用する。

 データは3月1日から8月14日まで15日ごとに実測値を集計。これを同省独自の予測式に当てはめることによって、10アール収量を予測できるようになる。予測値を基に「生育」から踏み込み、「作柄」の良否を「良」「平年並み」「不良」など5段階で公表する。対象地域では、米の生産量の傾向を従来よりも早い時期に把握できるようになる。

 作柄の予測方法は、17年度から構築を進めて精度を高め、実用可能と判断した。今後、生育の早い北海道や東北、北陸地方といった早場地帯の8月15日時点の作柄概況調査でも活用できるかを検討していく。

 実測調査に関わる同省の職員数は、20年4月1日時点で358人。10年間で8割以上減った。今回の調査方法の変更により、遅場地帯の約4000標本の草丈、茎数の実測調査が効率化されるという。同省は、「調査員が減る中で、実測調査は負担が大きい作業の一つ。効率化を進めながら、予測精度もさらに高めていきたい」と話している。
 

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