いまだに傷跡は癒えぬ

 いまだに傷跡は癒えぬ。記録的豪雨は人々の日常と営農の土台を一瞬で奪った▼きょうで九州を中心とした7月豪雨から1カ月がたつ。ここ数年、小欄で痛切に感じるのは、7月7日前後のテーマ設定の難しさ。明るい話題にと思うが、その数日前から大雨のニュースが届く例が多い。今年は結局、七夕に絡めて願い事を「厄災払拭(ふっしょく)の政治を」と締めくくった▼被災地取材の本紙写真部員は「想像を絶する。ある農家は畜舎で牛が溺れないように明け方3時間も綱を持ち続けた」「土砂崩れの現場は生木の臭い。大木がいくつも折れ田畑に流れ込んだ」と証言する。先週、東京の物産館・銀座熊本館を訪ねると、多くの人が「早く元気になって」と農産物加工品を買い義援金に応じていた▼次々と積乱雲ができ長雨をもたらす線状降水帯が九州で13回もできていたという。2年前の西日本豪雨では東海以西の広い範囲で同様の現象が15回発生した。今回は九州だけで、ほぼそれに匹敵する数の降水帯が被害を大きくした。中国での長江流域大洪水も、これと連動した異常気象の表れなのか▼本紙土曜日天気欄「お天気トーク」で「雨の色は何色」とあった。被災地には〈涙色〉だが、〈涙〉の字は水に流し元に戻ると書く。一刻も早い復旧、復興を願う。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは