全農19年度実績 改革通じ地域を元気に

 JA全農の2019年度事業実績は、全農改革の着実な進展を裏付けた。新型コロナウイルス禍で、食と農を結ぶ役割を担う重要性も一段と増す。改革の加速化で、地域農業の生産基盤の強化を支援し、食料自給率の向上に貢献すべきだ。

 全農が7月29日の総代会で強調したのは、コロナ禍の中でも食と農の懸け橋機能を担う決意だ。産地と消費地を結び、どんな状況でも国産農畜産物を国民に安定的に供給するサプライチェーン(供給網)を強固にしていく。山崎周二理事長は「コロナの影響は社会構造の変化を先取りした。食の現場の激変に迅速に対応したい」と明言した。

 海外産地の供給の不安定さが改めて裏付けされ、国産農畜産物への国民の信頼度が高まっている。自国での主要食料の確保という食料安全保障の土台の確立のためにも、JA自己改革の中枢、営農経済事業のエンジンとして、本領を発揮する時でもあろう。就任会見で菅野幸雄会長は「生産基盤確立は急務だ。まず第一に組合員・地域JAにとってなくてはならない全農になる」と決意を述べた。一層の役割発揮を期待したい。

 今回の事業実績で初めて、事業本部別ではなく、3カ年計画(19~21年度)で定めた最重点事業施策ごとに状況をまとめた。重点施策は①生産基盤確立②食のトップブランドとしての地位確立③元気な地域社会づくり④海外戦略の構築⑤JAへの支援強化──の五つ。重点施策ごとに横断的な対応が欠かせないためだ。

 キーワードは「連携」と「現場重視」の二つ。全農改革の“一丁目一番地”は生産基盤の確立だ。「現場重視」による地域農業の再生には、作目別対応と併せ、特に営農・資材事業部門の関わりが重要だ。また、米の生産が過剰になれば、全農としても出来秋以降の難題となる。

 食のトップブランドの確立は、コロナ禍で消費動向が様変わりする中で急務の課題だ。デジタル対応によるeコマース事業は一段と重要になる。商品力と販売力の強化は、需要に応じた農畜産物を供給する産地力と一体だ。全農と食品企業を束ね新商品のアイデア、ノウハウを形にする全農グループMD部会は存在感を増す。連携の柱だ。

 総代会で決定した大手コンビニ、ファミリーマートの株式取得は戦略的な連携の一環だろう。ファミマは1日当たり1500万人が来店し、まさに食の最前線だ。そこでの顧客情報と産地を結べば、新たな国産農畜産物の販路拡大の道も広がる。

 「現場重視」の典型は地域のJAへの支援強化である。営農経済面での強力な応援が生産基盤の確立にもつながる。菅野会長は「意気」と「覇気」をもって全力投球する事を強調した。それが産地、さらには日本農業そのものの「元気」に結び付く。「意気」「覇気」「元気」の三つの“気力”で全農改革を進めてほしい。
 

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