「田んぼダム」収量守り機能発揮 豪雨対策へ簡易器具 農研機構が貯水期間で目安

 農研機構農村工学研究部門は、豪雨時に水田に水をためて洪水被害を軽減する「田んぼダム」を稲の減収なしにできる目安を明らかにした。収量が減らない貯水期間を割り出し、手軽に水をためられる器具も開発。雨のピークに水田からの排水量を約40%減らすことができる。生産者の協力を得て、水田の貯水機能を活用した豪雨対策の普及が期待される。

 水田は豪雨時に一時的に雨水をため、その後ゆっくり川に排水して、下流域の浸水被害のリスクを低減する機能がある。田んぼダムは水田の排水部に器具を設置。貯留効果を高める取り組みだ。

 ただ、水をため過ぎると稲への悪影響が出る。そこで同部門は安全に実施するために、これまで不明だった冠水と減収との関わりを調べた。

 「コシヒカリ」など3品種で試験した結果、生育期間を通して、特に出穂前後は冠水に弱い傾向があると判明。収量に影響を与えない貯水継続期間の目安は、穂ばらみ期~出穂期なら1日未満、登熟~成熟期なら3日未満とした。

 水田の水管理を手軽で安価にできる水位管理器具も開発。調整板「ダムキーパー」は、排水口の設定を変えなくても、豪雨時は自動的に排水量を抑えて貯水する。貯水量は許容範囲の水位を超えない程度になる。

 既にトーヨー産業が販売し、価格は材質によって異なるが1枚2000~4000円。落水升「フィールドゲート」(同5000円)と組み合わせて使う。

 田んぼダムの取り組みは、多面的機能支払い交付金(資源向上支払)の助成項目となる。北海道の岩見沢市では約400ヘクタールの水田でダムキーパーなどを使い、田んぼダムに取り組む。市や土地改良区と連携し、生産者が手軽に水害対策ができる。

 2019年までの10年間で、1日当たり200ミリ以上の大雨の発生日数は、85年までの10年間に比べ約1・6倍に増加。同部門は「水田の水深を10センチ高くすれば、1ヘクタールで1000立方メートルの貯水ができる。河川の改修などと組み合わせ、取り組んでほしい」と期待する。
 

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