トマトと菊 接ぎ木!? 接着剤は「酵素」 科を超えて 台木にタバコ 名大など仕組みを解明
2020年08月11日
名古屋大学などの研究チームは、ナス科タバコ属の植物がマメ科やキク科など科の異なる植物と接ぎ木でき、その要因として“接着剤”の役割を果たす酵素が関係していることを発見した。耐病性の高い台木にトマトなどを接ぐことができるようになる研究成果で、米国科学誌「サイエンス」に掲載された。
名古屋大学と同大学発のベンチャー企業の他、帝京大学、理化学研究所、中部大学の共同研究。接ぎ木は少なくとも2000年以上前から農業で果菜類を中心に使われてきたが、同じ科の植物同士でしか成立しないと考えられ、仕組みは未解明だった。
研究チームは、ナス科タバコ属の植物・ベンサミアナタバコなどと、マメ科やキク科など異なる科の植物でも接ぎ木ができることを発見。タバコ属の植物を中間台木にして、トマトの穂木と菊の台木を接ぎ木することにも成功した。
ベンサミアナタバコなど7種のタバコ属の植物を試すと、38科73種で接ぎ木ができた。
接ぎ木接合部分のタンパク質を調べたところ、酵素の一種「β―1,4―グルカナーゼ」が多く生成されていた。この酵素の生成を抑えた接ぎ木では、同じ植物同士でも成功率が低下した。遺伝子を突き止めて酵素を過剰に生成させたところ、成功率が高まった。
今後は、耐病性が高いなど有益な特徴がある台木を、植物の科を超えて接ぎ木できる技術の確立を目指す。乾燥、塩害がある土壌や、病害土壌でも低農薬で栽培できる作物の作成などを通し、食料問題や食の安全への寄与も期待される。
名古屋大学の野田口理孝准教授は、「ナス科だけでもトマトやピーマン、ナスなど、さまざまな作物や品種があり、これまで難しかった品種同士の接ぎ木ができるだけでも、栽培の可能性を大きく広げられる」と話す。
名古屋大学と同大学発のベンチャー企業の他、帝京大学、理化学研究所、中部大学の共同研究。接ぎ木は少なくとも2000年以上前から農業で果菜類を中心に使われてきたが、同じ科の植物同士でしか成立しないと考えられ、仕組みは未解明だった。
研究チームは、ナス科タバコ属の植物・ベンサミアナタバコなどと、マメ科やキク科など異なる科の植物でも接ぎ木ができることを発見。タバコ属の植物を中間台木にして、トマトの穂木と菊の台木を接ぎ木することにも成功した。
ベンサミアナタバコなど7種のタバコ属の植物を試すと、38科73種で接ぎ木ができた。
接ぎ木接合部分のタンパク質を調べたところ、酵素の一種「β―1,4―グルカナーゼ」が多く生成されていた。この酵素の生成を抑えた接ぎ木では、同じ植物同士でも成功率が低下した。遺伝子を突き止めて酵素を過剰に生成させたところ、成功率が高まった。
今後は、耐病性が高いなど有益な特徴がある台木を、植物の科を超えて接ぎ木できる技術の確立を目指す。乾燥、塩害がある土壌や、病害土壌でも低農薬で栽培できる作物の作成などを通し、食料問題や食の安全への寄与も期待される。
名古屋大学の野田口理孝准教授は、「ナス科だけでもトマトやピーマン、ナスなど、さまざまな作物や品種があり、これまで難しかった品種同士の接ぎ木ができるだけでも、栽培の可能性を大きく広げられる」と話す。
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ひろしまお米アイス JA全農ひろしま
県産米「恋の予感」の炊飯と米ゲルを約3割使用した、つぶつぶ、もちもちの新食感アイス。全農ひろしまの耕畜連携・資源循環ブランド「3―R」商品にも認定されている。
米ゲルは、米を製粉せず、粒のまま水を加えて糊化(こか)させ、高速せん断攪拌(かくはん)でゲル状にしたもの。米ゲルの原料は耕畜連携で生産した県産「モミロマン」を使う。
味は、濃いミルク、きな粉ミルク、いちごミルクの3種類。「とれたて元気市広島店」「とれたて元気市となりの農家店」、JA佐伯中央「よりん菜」と県内の直売所の他、JA全農の通販サイト「JAタウン」で販売する。問い合わせは全農ひろしま米穀販売課、(電)082(431)3000。
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2020年08月08日
パネルの下はキクラゲ農園 太陽光発電と両立 広島県東広島市
広島県東広島市のキクラゲセンター西条小町は、農業と太陽光発電事業を両立したソーラーシェアリングで、キクラゲを菌床栽培している。キクラゲは輸入品が多く、国内生産は空調設備の整った室内での栽培が多いが、太陽光パネルの下の空間を活用し自然栽培する。
センターは、ソーラー事業や飲食店を営むユニオンコーポレーションが4月に開所した。遊休農地を活用して太陽光発電設備を設置。パネル下の56アールでキクラゲを栽培する。
品種は、亜熱帯原産の「アラゲキクラゲ」。センターは気温と湿度が高い5~10月に生産。パネル下を遮光ネットで囲い栽培棚を並べて、栽培期間中、延べ約3500個の菌床で栽培する。
水は地下水を使用。自動散水装置で2時間おきに5分間水をやり、水が行き渡らない場所は従業員が散水する。小まめな管理で高湿状態を保ち、発生を促す。
1日30キロを出荷し、出荷先の一つ、JA産直市「とれたて元気市となりの農家店」では「西条小町」のブランド名で110グラムを190円で販売する。
10月からは原木シイタケの栽培も始め、年間を通した計画的な出荷を目指す。統括責任者の妻崎圭治さん(51)は「農地空間を利用した通年生産を軌道に乗せ、キクラゲを多くの人に食べてもらいたい」と話す。
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2020年08月08日
最上川氾濫1週間 山形で田畑冠水2500ヘクタール 復旧作業進まず
山形県の最上川が氾濫し、甚大な被害が出た記録的大雨から4日で1週間。県内の田畑の冠水は約2500ヘクタール確認された。出穂間近だったため米農家の表情は険しい。県内は4日、気温30度を超す暑さの中、農家らは復旧作業に奔走した。
同県寒河江市は水稲の他、西洋梨「ラ・フランス」や桃などが被害を受け、農家らは畑の泥出しや水田の消毒などをした。だが暑さで泥は乾いて固く、農家らは汗を拭い厳しい作業に当たった。
市街地から最上川沿いに歩くと稲の色が緑から白く変わり、冠水した場所が目に見えて分かる。水田に流入した土砂で底が上がり、あぜ道との境目が分からない。「1週間たっても作業が進まない」と話すのは4・5ヘクタールの水稲農家、鈴木俊一郎さん(66)。「つや姫」など1・2ヘクタールが被害にあい、2メートルを超す水位にのまれた。大木や破壊された道路のコンクリートが水田に残り、コンバインで刈ることもできない。
泥をかぶり、稲の葉は傷ついた。鈴木さんは7月31日に消毒。いもち病など病害がまん延する恐れがあるため、市内を巡回して病害虫の防除に努める。4日は午前4時から作業した。「防除で無事だった水稲を守りたい」と話す。被災水田の対応は決まっていない。今後、地区ごとの座談会や行政と相談するという。
東北各県にも爪痕
記録的大雨は、東北各県に大きな爪痕を残した。山形県によると4日午前11時現在、水稲などの穀物やイモ、大豆などで浸水や冠水被害があり、被害面積は2264ヘクタール。スイカやメロン、エダマメなどの園芸品目やリンゴや桃など果樹品目も浸水や冠水し、被害面積は計207ヘクタール。被害額は現在調査中だ。
秋田県では、県農林水産部によると大仙市や由利本荘市で水田が浸水や冠水した他、水路や農道などにも被害が出た。被害額は現在2億3900万円で今後も増える見通しだ。福島県でも郡山市などで農道に被害が出た他、岩手県では北上川の下流域の農地が計800ヘクタールが冠水。宮城県ではため池などに被害があった。
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2020年08月05日
迫力満点 ご先祖様 お出迎え
福岡県中間市の生花店で、新盆に飾る「ホオズキタワー」作りが最盛期を迎えている。ホオズキの枝を束ねて鉢に仕立てる盆飾りで、福岡県などの一部地域で15年ほど前から作られている。
50基を受注した同市の生花店、ささきフローリストでは、クリスマスツリーのような形のホオズキタワーを提案。鉢の中心にヒバの枝を置き、その周りにオレンジ色の実が付いた10本のホオズキの枝で隙間なく覆って、高さ1メートル20センチの円すい形を作る。
大粒で形の良い実が欠かせないため、全国的な産地である大分県佐伯市産などを用いる。タワーは見栄えが良く、飾っておくと色を残したまま乾燥するので、長く楽しめると評判だ。
店主の佐々木寛さん(63)は「上質のホオズキが大量に使える、産地ならではの盆飾りだ」と胸を張る。価格は1メートル20センチのものが1基1万5000円。
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2020年08月11日
食料自給38% 微増 小麦増収、目標とは隔たり 19年度
農水省は5日、2019年度の食料自給率がカロリーベースで38%となったと公表した。過去最低に落ち込んだ前年度の37%から1ポイント上がり、08年度以来、11年ぶりの上昇となった。小麦の収量向上が貢献した。米の消費減退が響いて上昇は小幅で、30年度までに45%とする目標との隔たりは埋まっていない。
自給率は、国内の食料消費を国内の食料生産で、どの程度賄えるかを示す指標。
カロリーベース自給率の上昇要因として、農水省は小麦の収量向上を挙げる。19年度は天候に恵まれ、全国の10アール当たり収量は490キロと過去最高を記録。高単収品種の普及や排水対策の向上などが進み、天候要因だけの一時的な増加ではないとみている。
過去最低水準の18年度から上向いた形だが、小数点以下を含めた自給率は37・82%。前年度は37・42%で、上昇は0・4ポイントにとどまった。
農水省は、その要因にほぼ国産で賄える米の消費減退を挙げる。1人・1年当たりの供給量は53キロと、前年度に比べ0・5キロ減少し、自給率を押し下げる一因になった。
新たな食料・農業・農村基本計画は、30年度にカロリーベース自給率45%の目標を掲げた。達成に向け、同省は「国民運動」を通じて米などの消費拡大を進め、需要が見込める麦・大豆の増産に力を入れる方針だ。
生産額ベースの自給率は66%で、前年度と同じ過去2番目に低い水準となった。野菜の増収に伴う価格下落が響いた。
新たに示した飼料自給率を反映しない「食料国産率」は、カロリーベースで47%。18年度から1ポイント上がった。牛乳・乳製品などの生産量増加が要因。飼料自給率は前年度と同じ25%だった。
食料の潜在的な生産能力を表す「食料自給力」の指標のうち、米や小麦中心に作付けした場合の1人・1日当たりの供給可能熱量は1754キロカロリー。前年度より27キロカロリー増えたが、1人・1日当たりの推定エネルギー必要量2168キロカロリーは下回る。
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2020年08月06日
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トマトと菊 接ぎ木!? 接着剤は「酵素」 科を超えて 台木にタバコ 名大など仕組みを解明
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研究チームは、ナス科タバコ属の植物・ベンサミアナタバコなどと、マメ科やキク科など異なる科の植物でも接ぎ木ができることを発見。タバコ属の植物を中間台木にして、トマトの穂木と菊の台木を接ぎ木することにも成功した。
ベンサミアナタバコなど7種のタバコ属の植物を試すと、38科73種で接ぎ木ができた。
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今後は、耐病性が高いなど有益な特徴がある台木を、植物の科を超えて接ぎ木できる技術の確立を目指す。乾燥、塩害がある土壌や、病害土壌でも低農薬で栽培できる作物の作成などを通し、食料問題や食の安全への寄与も期待される。
名古屋大学の野田口理孝准教授は、「ナス科だけでもトマトやピーマン、ナスなど、さまざまな作物や品種があり、これまで難しかった品種同士の接ぎ木ができるだけでも、栽培の可能性を大きく広げられる」と話す。
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2020年08月11日
マルハナバチ 外来種が75% 在来種普及進まず 授粉効果の浸透課題
トマトやナスなど、施設野菜の授粉に使うマルハナバチのうち、特定外来生物のセイヨウオオマルハナバチが利用面積で全体の4分の3を占めることが農水省の調べで分かった。在来種と競合し、生態系への悪影響が懸念されている。一方、政府が導入を推進する在来種のクロマルハナバチは4分の1にとどまる。授粉効果などを十分浸透させ、施設野菜農家に転換をどう促すかが課題だ。
マルハナバチの利用面積は2018年で3310ヘクタール。このうち、セイヨウオオマルハナバチが2487ヘクタール(75%)、クロマルハナバチは823ヘクタール(25%)だった。
セイヨウオオマルハナバチを授粉に使う時は環境省の許可が必要で、その許可基準は厳しくなっている。19年からは継続以外の新規の飼養を許可せず、飼養数を増やす場合は理由書などの添付が必要になった。22年4月からは飼養数の増加も認めない方針だ。
政府は、クロマルハナバチへの転換を促している。クロマルハナバチの利用面積は16年から18年の間に242ヘクタール(41%)増えたが、セイヨウオオマルハナバチは同2%減と、ほぼ横ばいで推移している。
在来種保護のため、政府はセイヨウオオマルハナバチの 15年時点の年間出荷量約6万箱を、20年には半減させる目標を設定している。だが、外来生物を所管する環境省は、現状のペースで 目標達成は難しいと見通す。
クロマルハナバチの販売価格は、セイヨウオオマルハナバチと同水準。それでも転換が進まない要因として、クロマルハナバチの授粉効果などが農家に十分浸透していないことが挙げられる。
そこで農水省は、クロマルハナバチの導入・定着を支援。農家グループを対象に、巣箱代や肥料、農薬、被覆資材などの経費を助成する。周辺地域に普及させることを前提に、各グループで飼育マニュアルも策定。これまで10グループが対象となり、21年度以降も事業を続ける予定だ。
農水省は「セイヨウオオマルハナバチと比べても、授粉効果に遜色はない。各地の取り組みを通じ、クロマルハナバチへの転換を引き続き促していきたい」(園芸作物課)と話す。
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2020年08月10日
パネルの下はキクラゲ農園 太陽光発電と両立 広島県東広島市
広島県東広島市のキクラゲセンター西条小町は、農業と太陽光発電事業を両立したソーラーシェアリングで、キクラゲを菌床栽培している。キクラゲは輸入品が多く、国内生産は空調設備の整った室内での栽培が多いが、太陽光パネルの下の空間を活用し自然栽培する。
センターは、ソーラー事業や飲食店を営むユニオンコーポレーションが4月に開所した。遊休農地を活用して太陽光発電設備を設置。パネル下の56アールでキクラゲを栽培する。
品種は、亜熱帯原産の「アラゲキクラゲ」。センターは気温と湿度が高い5~10月に生産。パネル下を遮光ネットで囲い栽培棚を並べて、栽培期間中、延べ約3500個の菌床で栽培する。
水は地下水を使用。自動散水装置で2時間おきに5分間水をやり、水が行き渡らない場所は従業員が散水する。小まめな管理で高湿状態を保ち、発生を促す。
1日30キロを出荷し、出荷先の一つ、JA産直市「とれたて元気市となりの農家店」では「西条小町」のブランド名で110グラムを190円で販売する。
10月からは原木シイタケの栽培も始め、年間を通した計画的な出荷を目指す。統括責任者の妻崎圭治さん(51)は「農地空間を利用した通年生産を軌道に乗せ、キクラゲを多くの人に食べてもらいたい」と話す。
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2020年08月08日
「田んぼダム」収量守り機能発揮 豪雨対策へ簡易器具 農研機構が貯水期間で目安
農研機構農村工学研究部門は、豪雨時に水田に水をためて洪水被害を軽減する「田んぼダム」を稲の減収なしにできる目安を明らかにした。収量が減らない貯水期間を割り出し、手軽に水をためられる器具も開発。雨のピークに水田からの排水量を約40%減らすことができる。生産者の協力を得て、水田の貯水機能を活用した豪雨対策の普及が期待される。
水田は豪雨時に一時的に雨水をため、その後ゆっくり川に排水して、下流域の浸水被害のリスクを低減する機能がある。田んぼダムは水田の排水部に器具を設置。貯留効果を高める取り組みだ。
ただ、水をため過ぎると稲への悪影響が出る。そこで同部門は安全に実施するために、これまで不明だった冠水と減収との関わりを調べた。
「コシヒカリ」など3品種で試験した結果、生育期間を通して、特に出穂前後は冠水に弱い傾向があると判明。収量に影響を与えない貯水継続期間の目安は、穂ばらみ期~出穂期なら1日未満、登熟~成熟期なら3日未満とした。
水田の水管理を手軽で安価にできる水位管理器具も開発。調整板「ダムキーパー」は、排水口の設定を変えなくても、豪雨時は自動的に排水量を抑えて貯水する。貯水量は許容範囲の水位を超えない程度になる。
既にトーヨー産業が販売し、価格は材質によって異なるが1枚2000~4000円。落水升「フィールドゲート」(同5000円)と組み合わせて使う。
田んぼダムの取り組みは、多面的機能支払い交付金(資源向上支払)の助成項目となる。北海道の岩見沢市では約400ヘクタールの水田でダムキーパーなどを使い、田んぼダムに取り組む。市や土地改良区と連携し、生産者が手軽に水害対策ができる。
2019年までの10年間で、1日当たり200ミリ以上の大雨の発生日数は、85年までの10年間に比べ約1・6倍に増加。同部門は「水田の水深を10センチ高くすれば、1ヘクタールで1000立方メートルの貯水ができる。河川の改修などと組み合わせ、取り組んでほしい」と期待する。
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2020年08月07日
秋田県農試が実証 水田センサーで良食味 深水確実に、収量も増
水田センサーを稲作の深水管理に応用し、良食味米の安定生産ができることを、秋田県農業試験場が実証した。水位を正確に把握し、きめ細かな水管理をすることで、全量1等米、玄米タンパク質含有率6・0~6・4%の目標を達成した。水管理の省力化に加え、品質向上にもセンサーが役立つことを示した。農研機構・農業技術革新工学研究センターなどとの共同研究。……
2020年08月05日
バッタ大発生で食料不足 アフリカ・アジア4200万人危機 穀物輸入に影響も
世界中でバッタが猛威を振るっている。アフリカや南西アジアではサバクトビバッタが、南米ではミナミアメリカバッタが大発生。国連食糧農業機関(FAO)によると、サバクトビバッタの被害で4200万人が食料危機にひんしている。世界のバッタに詳しい元・蚕糸・昆虫農業技術研究所の田中誠二氏は「日本へ飛来してくる可能性は低いとみているが、南米で被害が拡大すれば、穀物などの輸入ができなくなる可能性もある」と指摘する。
サバクトビバッタはアフリカ北部や中近東、南西アジアなど乾燥地域に生息する。2018年にサイクロンによる大雨が続き、餌となる草が増えてバッタが増殖した。ケニアでは70年ぶりの大発生になった。
餌を求めて近隣の国へ移動する。風に乗って150キロ以上を飛行することもある。南西アジアではネパールのヒマラヤ山脈の麓まで到着した。夏の繁殖に向け、成虫の群れがインドとパキスタンの国境付近に移動している。
各国はFAOの支援を受け、化学農薬や生物農薬を地上と空中から散布し、防除に取り組んでいる。20年に入ってからの累計防除面積は約150万ヘクタール。一方、新型コロナウイルスの感染拡大で、十分な防除活動ができていないという。
日本が穀物を輸入する南米のパラグアイとアルゼンチンでは、15年からトウモロコシなどに食害を与えるミナミアメリカバッタの大発生が続いている。もともと南米に生息する種類で、サバクトビバッタに似た性質を持つ。60年前の大発生では70万ヘクタールの農地に被害があった。ブラジル農務省は6月に、植物検疫緊急事態宣言を出した。
中国の東北部でもクルマバッタモドキの仲間が、雲南省ではラオスで大発生したバッタが侵入しているという。
田中氏は「害虫は初期防除が重要。バッタに限らず、日本でもカメムシなどの大発生を注視する必要がある」と強調する。
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2020年07月25日
関東、東北で日照4割 前線停滞 作物管理に注意 果菜が品薄高
関東や東北の太平洋側を中心に全国で顕著な日照不足が続いている。6月下旬からの日照時間は平年に比べ4割にとどまる地点があり、市場ではニンジンや、ピーマンなど果菜類が品薄高だ。気象庁は、前線が日本付近にとどまり続けるため、少なくとも7月中は日照時間が少ない状況が続くとして、農作物の管理に注意を呼び掛けている。
同庁によると、東北から九州の広い範囲で6月25日ごろから、日照時間が記録的に少ない状態が続く。7月豪雨をもたらした前線の停滞、関東や東北地方太平洋側に湿った東の風が入ったことで、全国的に雨や曇りの日が多かった。
7月20日までの過去30日の日照合計は東北地方太平洋側、関東で平年比4、5割の地点が多い。過去20日間の合計では新潟県上越市で22・7時間(平年比27%)、茨城県北茨城市で22時間(同27%)を記録した。東北でも福島県相馬市で18・6時間(同25%)、宮城県気仙沼市で22・2時間(同26%)で、深刻な日照不足になっている。
天候不順は、野菜相場にも影響している。各地区大手7卸のデータを集計した日農平均は、ニンジンの7月中旬の価格が1キロ239円と、平年(過去5年平均)の2倍以上に高騰。他品目も生育や収穫作業の遅れを取り戻せず、品薄基調が続いている。ニンジンの大手7卸の販売量は1604トンと平年比で17%少ない。「低温や日照不足で肥大が進まず細物の割合が多い」(卸売会社)ため、6月下旬以降、同1、2割減のペースが続く。
果菜類も、値上がりが目立つ。ピーマンの日農平均価格は1キロ514円と平年比34%高、キュウリは1キロ333円と同15%高。首都圏のスーパーは「キュウリは割高のため、袋からばら売りに切り替えている」と話す。
向こう1週間は全国的に曇雨天が続いて生育や収穫が遅れ、月内は品薄高で推移する品目が多い見通し。23日からの4連休に向けて、週内は品薄高が続く見通しだ。
異例の長雨 いつまで… 病害虫、栽培管理 対策に奔走
約1カ月も続く異例の曇天・長雨で、特に日照が不足する産地では、病害虫の発生や出荷量減少への対応に苦慮している。各産地は消毒や換気徹底など、影響を最小限に抑える対策に追われている。
東北では日照不足が続き、水稲農家が悲鳴を上げている。例年なら6月末から中干しで稲の根を強化させるが、雨と曇天が続き、田が乾かない状況だ。
中干しの時期を迎えても曇天が続き、「田が乾かない」と話す平吹さん(右)と古内係長(左)(山形市で)
7月の日照時間が平年比59%の山形市。JAやまがた南沼原水稲栽培研究会は20日、草丈や茎数のデータを集める生育調査のため、管内の水田を巡回したが、同研究会の会員の表情は険しかった。
例年では田はひびが入るほど乾いた状態になっているが、この日、平吹拓也会長が足を踏み入れると片足が沈み、足跡にはみるみる水がたまった。
平吹会長は「生育は順調」とした上で「一向に水田が乾かず、根が張るか不安」とうつむく。平吹会長が栽培する水稲25ヘクタールは、8割が中干しできていない状況だ。「出穂期が間近に迫る中、今の天候が続くと生育が心配」と話す。
山形県の出穂期は8月5日前後の見込みで、JAは25日からたん水管理に切り替えるよう呼び掛けていく。中干しできずに出穂期を迎えれば、根腐れや収穫時の倒伏などが懸念される。また、日照不足は、病害虫の発生にも影響する。
JA営農米穀課の古内拓己係長は「カメムシはここ10年で見ないほどの高い発生率。品質に関わるため、生息場になる雑草の対策と見回りを強化する」という。
いもち病は、気温20~25度程度、曇天や雨で高い湿度を好む。古内係長は「早期防除の徹底を呼び掛け、産地一体となって高品質の米生産を目指す」と強調した。
福島県のJA会津よつばでは、南部で水稲のいもち病が発生している地点がある他、トマトの着色遅れ、キュウリやインゲンの生育不良などが発生する。JAは病気を防ぐため、葉を間引いたりハウスを換気したりして風通しを良くするよう呼び掛ける。桃やリンゴなどの果樹では、地面に反射シートを敷く──といった指導を進め、被害を最小限に抑える構えだ。
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2020年07月22日
シャボン玉 授粉成功 ドローン活用も 果樹で北陸先端大学
将来的にミツバチの代わりに、シャボン玉が花粉を運ぶ──。北陸先端科学技術大学院大学の研究グループは、花粉を混ぜ込んだシャボン玉を花に吹き付け、果樹を人工授粉させることに成功した。今後、シャボン玉の発生装置を取り付けたドローン(小型無人飛行機)が全自動で園地を飛び回り授粉するといった技術への応用が期待される。
ミツバチをはじめ花粉媒介昆虫の減少が世界的に問題となっている。さらに生産者の減少と高齢化が進む中、梵天(ぼんてん)などを使った手作業での授粉も手間と労力が課題だ。
そこで研究グループはドローンを使った人工授粉を研究。これまで、馬の毛を貼り付けたドローンを使って、花粉を媒介する研究を行ったが、接触時に植物を傷付けるという課題があった。シャボン玉を使えば植物を傷つけないと考え、梨を使って技術開発に取り組んだ。
初めに、花粉の働きを高めるカルシウムやシャボン玉を丈夫にする物質などを配合したシャボン液を開発。このシャボン液と花粉を混ぜ合わせ、園地でシャボン玉を梨の花に吹き付けた。すると全体の95%で実がなり、手作業で授粉作業を行った場合と同程度の着果率だった。また、一つの花に2、3個のシャボン玉が付着すれば、十分に実がなることも確かめられた。手作業で授粉させたものに比べ、実の成長スピードも変わらなかった。
今後はシャボン玉の発生装置を取り付けたドローンによる授粉技術の開発が期待されている。開発には花の位置を正確に把握する画像認識技術や、高精度でシャボン玉を吹き付ける技術が必要と見られる。研究グループは「花粉媒介昆虫の減少や省力化といった世界的な農業問題の解決につながる」と強調する。
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2020年07月19日
収量増の一歩 大豆スマホ診断 質問答えれば対策 農研機構
農研機構・中央農業研究センターは、大豆の収量改善に向けてスマートフォンで簡易診断ができるシステム「大豆診断楽々ナビゲーション」を公開した。スマホの画面に表示される質問に答えると、収量低下のリスクやどんな対策が必要かが分かる。大豆は年や地域で収量の差が大きいが、まずは低収量の原因を知り、適正な対策を取れるようにする。
同センターのホームページで無料閲覧できる。システムの正式名称は「診断に基づく大豆栽培改善技術導入支援マニュアル」。
大豆の収量は、北海道以外の都府県で低下傾向にあり、2019年は10アール当たり124キロ。年次変動も大きく、販売価格が安定しないため、実需者が使用を避ける要因となっている。一方、生産者からは「10アール当たり300キロをいきなり目指すのはハードルが高い」「基本技術が大事と言われても、どこから手を付けたら良いか分からない」という声があった。
そこで同センターは、18の質問から湿害、雑草害など六つのリスクの高さを分析し、グラフで表示するシステムを開発した。700筆以上の畑の実態調査と、生産者へのアンケートを基に必要な質問項目を統計的に抽出した。生産者が使いやすいように、質問の数はできるだけ少なくした。
生産者はリスクが判明したら、対策を検討する。例えば排水不良・湿害については、明きょに雨水がいつまでもたまっているなら畑の均平化が必要、明きょが落水口とつながっていなければつなげるなど問題を分析し、対策を選ぶ。畑の状態の写真も豊富に掲載している。
同センター水田土壌管理グループの大野智史グループ長は「大きな目標を立てるより、まずは現在の収量から1、2割でも向上してほしい。システムは使いやすさを重視した。技術パンフレットや都道府県の栽培指針と併せて見てもらいたい」と呼び掛けている。
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2020年07月17日
稲 草丈の謎解明 促進・抑制に遺伝子 名大など 飼料作物増収へ応用も
名古屋大学などの研究グループは、50年前に日本人研究者が存在を“予言”していた、稲の茎の伸びを促進・抑制する遺伝子を突き止めた。大麦など他のイネ科作物でも草丈を抑えたり、背の高い高収量の飼料作物を作ったりできる可能性がある。論文は16日午前0時(日本時間)に、世界的に権威がある英国の科学雑誌「ネイチャー」オンライン版に掲載される。
岡山大学と横浜市立大学、国立遺伝学研究所、理化学研究所、農研機構との共同研究。伸びを促すアクセルの役割を果たす遺伝子「ACE1」と、ブレーキ役の遺伝子「DEC1」が関係することを発見した。
ジャポニカ種は生育初期に伸びを促す遺伝子が壊れていることを発見。名古屋大学の芦苅基行教授は「倒伏防止へ草丈が長くならないように選抜されていたのではないか」とみる。
草丈が5、6メートルにもなる東南アジアの浮き稲では洪水で水位が上がった場合に、両遺伝子の発現量を調節して茎の伸長を促して生き残ろうとしていると結論付けた。
50年前に「植物が植物ホルモンのジベレリンに反応するには何らかの要因がある」とされていた。研究チームはその要因が遺伝子にあるとみて、500系統を超えるジャポニカ種と浮き稲を分析し、遺伝子を特定した。
ジベレリンは植物の茎や葉を伸ばすことが常識とされている。しかし、生育初期のジャポニカ種は葉だけしか伸びなかったため、違いに気付いた。芦苅教授は「ジベレリンについては最前線で研究してきたが、教科書に載っていることが全てではないと思い知った」と振り返る。
大麦やサトウキビなどイネ科作物にこれらの遺伝子を導入したところ、同様の結果が見られた。芦苅教授は「高収量の飼料作物の開発や、イネ科作物の草丈を調整する技術の確立などが期待できる」と強調する。
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2020年07月16日
