米大統領選 陣営対決が佳境 農業・貿易が焦点

 米国大統領選は、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が対決する構図が決まり、11月の投開票日に向けて今後、両陣営の対決は佳境に入る。中国との貿易戦争や新型コロナウイルス禍の影響で、農家の不満も多いとみられ、共和党が強い農業州すらトランプ氏にとって盤石とは言えない。今後の激戦州のてこ入れに向けて、農業や貿易政策に両陣営がどこまで踏み込んでくるかが焦点になりそうだ。
 

トランプ氏 支持層てこ入れも


 大統領選は、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた選挙人計538人のうち、過半数(270人)を獲得した候補が当選する。基本的に各州の選挙人は勝者が総取りするため、州別の勝敗が鍵になる。

 トランプ氏とバイデン氏は両党の党大会で正式に大統領候補に指名された。

 トランプ氏は前回2016年の選挙で、環太平洋連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)見直しなど貿易政策の転換を強く訴えた。今回の選挙戦では、こうした公約が実現したこともあってか、貿易政策への言及は中国に対するものが多い。

 ただ、新型コロナ禍による死者数の増加や経済の低迷で、今回はトランプ氏の苦戦が伝わる。こうした中、元々支持層が多い農業地帯の票固めを重視するとみられるが盤石な支持基盤を形成できていない。

 例えば、牛肉生産の一大産地で、過去の選挙では共和党が票田として連勝してきたテキサス州は、現時点では支持の拮抗(きっこう)を示す世論調査も多い。中国との関税引き上げ合戦や新型コロナの影響で輸出が振るわないなどの不満が背景にあるとみられる。

 前回の選挙では、製造業が衰退したラストベルト(さびた工業地帯)ををはじめ、中西部の激戦州で相次いで勝利したことが、トランプ氏の大きな勝因となっていた。このうちウィスコンシン、ペンシルベニアなどは酪農も盛ん。7月には共和、民主両党の地元議員が連名で、日米貿易協定の追加交渉を求める書簡をまとめるなど、市場開放への期待もくすぶっている。
 

バイデン氏 TPP言及に注目


 対するバイデン氏は、TPPを巡る発言が注目だ。TPPを合意に導いたオバマ前大統領を副大統領として支えた。ただ、これまでTPPへの言及はほとんどなく、事実上の公約となる民主党の綱領への記載を避けた。

 日本の外交筋は「TPPは民主党内でも反対派が多く、大統領選で強くPRすることはないのではないか」と指摘している。

 ただオバマ政権にとってTPPは、中国に対抗するアジアの秩序づくりにつなげる戦略でもあった。バイデン氏は昨年、討論会で「元の協定のままでは参加しない」とTPP再交渉を掲げる場面もあった。
 

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