[JA山口県移動編集局] 中山間の放棄地解消へ 小規模放牧拡大 遠隔監視で省力 県と連携

耕作放棄地で「山口型放牧」を取り入れる秋穂放牧利用組合の宗綱組合長(山口市で)

 全国に先駆けて「山口型放牧」を実践する山口県は、放牧用の牛の貸し出しに加え、遠隔監視システムの構築で放牧拡大に乗り出す。耕作放棄地解消や水田フル活用が狙い。約30年の歴史があり農地再生で成果を上げるが、近年は人手不足などで放牧面積は伸び悩む。県はJA山口県と連携、スマート農業の活用などで新たな「山口型放牧」を模索する。

 「山口型放牧」は、農地保全と飼養管理の省力化を目的に耕作放棄地や水田を中心に牛を放し、草がなくなると別の農地に移動させる。中山間地が多い同県では小規模な点が特徴。県は、1989年に事業化し、県全域に取り組みを広めた。

 山口市秋穂東地区。米農家でつくる秋穂放牧利用組合は「高齢化で耕作できない水田が増えた」(宗綱良治組合長)と、2010年に11戸で組合を設立。2ヘクタールで始め19年は6ヘクタール、組合員も28戸に増えた。牛は19年は10頭。畜産農家が牛を貸し出す県の「レンタカウ制度」でつながった美祢市の井上牧場から借りる。2頭ペアで妊娠2、3カ月の黒毛和種を6カ月放牧。運搬費を含めたレンタル料は1頭1万円だ。

 牛は県畜産試験場で放牧訓練するため、借りる側は世話や管理の負担が少ない。同組合は今年、大区画整備で放牧を中断したが、同地区の米農家の藤田路可さんに勧め、耕作放棄地2ヘクタールで4頭の放牧を7月に始めており、地域に広がる。

 19年の県内放牧面積は314ヘクタールで、うち耕作放棄地が103ヘクタール。県全域の229カ所で黒毛和種など1214頭を放牧する。だが面積は15年の372ヘクタールがピークで「人手不足や管理への不安などが取り組みの阻害要因」と県畜産振興課はみる。

 県は今年度、遠隔地で放牧牛を監視するシステム構築に着手。衛星利用測位システム(GPS)で設定した放牧エリアの境界に小型センサーを付けた牛が一定距離に近づくとスマートフォンなどに通知する仕組みを作る。

 JA山口県は「レンタカウ制度」で貸し手と借り手のマッチングをサポート。貸し出し可能な牛は212頭が登録。同制度などを利用して放牧する面積は92ヘクタール。同JA南すおう統括本部は、電気柵に使う支柱などを放牧希望の耕種農家に貸し出し、後押しする。

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