JA農業関連収支改善 共同施設集約化が鍵 時間かけ合意形成 農中総研分析

 農業関連事業が赤字のJAは、共同利用施設の1カ所当たりの販売・取扱高が、黒字JAの半分にとどまることが、農林中金総合研究所の分析で分かった。米の乾燥調製施設や青果物の集出荷施設など共同利用施設の収支改善はJA営農経済事業改革の柱。施設の集約などの効率化を、組合員の協力を得ながら進める必要がある。

 農中総研は、北海道や1県1JAなどを除く、都府県のJAの状況を調べた。2017年度の財務を分析し、農業関連事業の黒字・赤字JAの平均的な姿を割り出した。

 それによると、農業関連事業が赤字JAは、販売品目が分散しているのが特徴だ。農産物販売・取扱高は53・4億円で、黒字JAの57%。生産資材の供給・取扱高も21・9億円で同72%だった。

 特に差が大きいのが、共同利用施設だ。赤字JAの米の乾燥調製施設の販売・取扱高は1カ所当たり3・3億円と黒字JAの50%、青果物集出荷施設も3・2億円と黒字JAの48%で、いずれも半分にとどまった。

 赤字の理由の一つは、事業取扱高に対する管理費(経費)の割合が大きいこと。共同利用施設の利用減少や老朽化による修繕費などが要因の一つだ。農中総研は「(販売を伸ばす)成長戦略と同時に、事業の効率化が必要」と指摘する。

 事業効率化の代表例として、農中総研はJAの事例を紹介。和歌山県JA紀の里では1999年から2010年にかけ協議し、10カ所あった選果場を5カ所に集約。不公平をなくすため旧選果場5カ所を1次集荷場とし、そこからの輸送費も全体で負担する。

 福岡県JA柳川は、カントリーエレベーター(CE)と野菜選果場を集約。CEでは混雑しないよう個人農家に集落営農を通じて出荷日を割り当てる仕組みが成功している。2JAは、構想から実現まで数年~10年をかけて組合員らで話し合い、合意を形成。施設集約を人件費削減や販売強化などに結び付け、黒字を実現した。

 尾高恵美主席研究員は「合意形成には時間がかかり、施設の更新を考えて準備する必要がある。組合員一人一人がJAの経営に関心を持つことが大切」と説明する。
 

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