JAの予算要請 基本計画実現へ道筋を

 JA全中は2021年度農業関係予算への要請をまとめた。新たな食料・農業・農村基本計画の実践と新型コロナウイルス対策が柱。コロナ対策では経営支援や需要喚起に加え、生活様式の変化に対応する産地や地方の挑戦への支援が欠かせない。食料安全保障の確立・強化へ同計画の施策の具体化も必要だ。

 コロナ対応に専念するとして、政府が9月末まで延期した概算要求期限を前にまとめた。政府・与党に反映を求める。

 21年度の政府予算には、これまでとは発想を大きく変えて対応すべき課題が二つある。

 一つはコロナ対策だ。感染者数が最近は減少傾向にあるが、秋から冬にかけて再度の感染拡大への懸念は強い。このため要請では、第1にコロナ対策の継続・強化を挙げた。20年度補正予算に盛り込まれた需要喚起策、経営安定・継続対策、資金繰り対策について継続・拡充を求める。特に経営継続補助金は農業者の申請も多く、十分な予算の確保が必要だとする。

 コロナ禍の中で暮らしと産業は大きな変化・変革を求められる。また「3密」を避けられるとして地方・農村に注目が集まっている。農畜産物のネット販売や、都市と農村をつなぐオンラインを活用した新ビジネスなどが広まる可能性もある。要請では、テレワークなどを活用し地方で休暇を楽しみながら働くワーケーションを例に挙げた。「関係人口」の拡大にもつながると指摘する。こうした変化に対応した取り組みへの支援を求める。農村振興のための「田園回帰」の促進と地方経済の回復・活性化にも重要である。

 もう一つの柱が基本計画の実践に必要な施策の具体化だ。同計画では、生産基盤の強化や国民の農業・農村への理解拡大を通じた食料安保の確立を掲げた。規模の大小などに関わらず農業経営全体を底上げする施策を展開する方針も明確化した。

 これに沿って要請では、国内で消費するものは国内で生産する「国消国産」を提唱。国産の購入を促す取り組みや情報発信をはじめ、国民運動を強力に展開することを求めた。農業だけでなく、消費者、経済団体など幅広い関係者が協力・参加できる運動を起こす必要があるだろう。また、食料や農業の大切さを共有するための土台となる食育の強化も掲げた。生産基盤強化では、中小・家族経営への手厚い支援策を提起した。

 基本計画は、産業政策と地域政策を車の両輪として推進し、30年度までに食料自給率を45%に引き上げることなどを目標に掲げる。実現への道筋をつけられるかは、同計画策定後初めてとなる21年度予算が鍵を握る。コロナ対策を含めて、今回の要請は、そのために必要な施策だ。政府・与党には対応が求められる。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域活性化を基本目標に掲げるJAグループの自己改革を引き続き実践することも必要である。

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