衛生基準設定後、東京都区内で初 放牧養豚を再開 世田谷区の吉岡さん

軟らかな地面を駆け回ったり掘ったりする黒豚。吉岡さんが大島町から導入した(東京都世田谷区で)

ブランド力 高めたい


 東京都世田谷区の吉岡幸彦さん(74)は、約2万平方メートルの敷地で造園業と養鶏業の傍ら、念願かなって7月下旬から放牧で豚を飼い始めた。豚熱などの予防に向けて農水省が6月に新たな飼養衛生管理基準を設けて以降、都区内では初の放牧養豚だ。管理を徹底してブランド力を高め、11月ごろの出荷を目指す。

 吉岡さんは、2年ほど前まで都の銘柄豚「TOKYO―X」などをアニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)にのっとり放牧で飼っていたが、全国で豚熱発生が相次いだためやむなく中断した。しかし、鶏も放し飼いにするなどできるだけ自然な形の農業を目指す吉岡さんは「もう一度豚を放牧で飼いたい」との思いが強まり、日本放牧養豚研究会の山下哲生理事長に相談。以前養豚で使っていた約660平方メートルで再開することを決めた。

 導入したのは、東京都心から南に120キロ離れた、イノシシがすんでいない伊豆諸島の豚。ちょうど出荷先を探していた大島町の農家を知り、バークシャー種15頭を7月に運び込んだ。

 豚熱のワクチン接種は済ませたが、万一の事態に備え農場はフェンスで囲い、屋根がある避難スペースを確保。見学に来た人が豚に近づかないよう貼り紙やカラーコーンで注意を呼び掛ける。近くに保育園が20ほどあり、今では子どもたちが1日に1回は豚を見に来るなど、都市化が進んだ東京で貴重な食育の場になっている。

 11月に最初の出荷をした後は、都立瑞穂農芸高校(瑞穂町)で飼う豚を導入することも考える。吉岡さんは「都内で生まれた豚を都内で放牧することで付加価値を高めたい」とする。

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