怒濤(どとう)の“浮世絵イヤー”である

 怒濤(どとう)の“浮世絵イヤー”である。コロナ禍で消沈の日々だが、江戸時代の庶民も楽しんだ日本の美を堪能し心に元気を取り戻したい▼まずは東京都美術館で開催中の「日本浮世絵三大コレクション」。約60人が描いた450点の浮世絵版画が集結した。著名絵師はむろんだが、気品ある八頭身美人画を得意とした鳥居清長をはじめ鈴木春信、勝川春章、窪俊満(くぼしゅんまん)、鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)、渓斎英泉(けいさいえいせん)ら普段なかなか鑑賞できない作品も多い。あすから『週刊ニッポンの浮世絵100』(小学館)全30巻の刊行も始まる▼やはり2大スター、葛飾北斎と歌川広重はすごい。美術雑誌『和楽』では〈頂上対決〉をテーマに北斎VS広重の特別企画を盛る。政府音頭の「GoTo」は課題ばかりだが、この2人の天才が描く名所と風景を頼りに日本中を旅する気分に浸るのもいい▼浮世絵の題材は庶民の生活に密着していた。今年は北斎生誕260年で、すみだ北斎美術館は当時の催しを四季折々の北斎画で紹介。夏越(なご)しのはらい『茅の輪の不二』は、今のコロナ禍をも連想する。〈千歳の命延を〉と唱えくぐったという▼東京・六本木、森美術館の浮世絵展は江戸っ子のグルメぶりを描いた。にぎりずし誕生から200年。浮世絵を通し、改めて日本食の多様さにも感心する。
 

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