防災行動計画 逃げ遅れなくす備えを

 豪雨や台風が頻発する近年、自分や家族の命を守るには普段からの準備が大切だ。ハザードマップを使いこなして地域の危険箇所を知るとともに、一人一人がタイムライン(防災行動計画)を作って「逃げ遅れゼロ」を実現しよう。

 日本農業新聞は、「防災 逃げ遅れゼロへ!」をくらし面に3回連載した。防災への意識を高めるだけでなく、命を守る事前の行動に結び付けてもらうのが狙い。準備には手順も大事で、①ハザードマップの知識を持つ②警戒レベルで避難のタイミングを知る③タイムラインを作る──との流れを示した。

 7月の九州豪雨で甚大な洪水被害が発生した熊本県人吉市が、ハザードマップと実際の被害との関係を検証したところ、浸水範囲の多くは「被害想定内区域」だったという。ハザードマップを普段から目にすることは、地域内の危険な場所を把握し、災害発生時に再確認するのに有効な手段といえる。

 国土交通省ポータルサイトにある「重ねるハザードマップ」は、洪水、土砂災害、通行止めになる恐れのある道路情報、津波の四つのリスクを同時に表示できる。より身近で詳細な市区町村のハザードマップと併せて活用したい。

 地域のリスクを知った上で、実際の行動に向けて効力を発揮するのがタイムラインである。ホームページ上で作り方を紹介したり、講習会を開いたりする自治体が増えてきた。

 連載に登場した広島県JA安芸管内の農家、櫻河内照江さんは9月、JA女性部の活動として「風水害マイ・タイムライン」講習会を企画した。2018年の西日本豪雨を経験、近隣地区の住民4人が亡くなったことが背景にある。「西日本豪雨の時は避難すらしなかった。その後は『警戒レベル2』で準備し、避難指示が出たらすぐに行動できるようにしている」と話す。学びは確実に成果につながっている。

 市町村など行政には「マイ・タイムラインの作り方」をテーマに講習会を開いてもらい、JAにも携わってほしい。JAの女性部や青年部、生産部会などの組織が連携することで、暮らしと営農の両面で必要な準備を改めて認識できるからだ。

 避難のタイミングは、各人の「準備や避難に要する時間」で異なる。例えば、高齢者や障害者、乳幼児は、「全員避難=警戒レベル4」の前の「警戒レベル3」が避難すべき時とされる。まずは家族内で意識を共有し、次の段階では近所で声を掛け合って逃げ遅れる人がいないようにすることが重要だ。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つに、「気候変動に具体的な対策を」がある。個人や家族でできる具体的な対策がタイムラインの作成であり、近隣でできる対策が声掛けである。この二つの対策の組み合わせが、「逃げ遅れゼロ」の地域をつくる。

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