その女子高生へのいじめは、「この『絆』って文字嫌い…」と友人に漏らしたことがきっかけだった

 その女子高生へのいじめは、「この『絆』って文字嫌い…」と友人に漏らしたことがきっかけだった。すぐにSNSで拡散した▼彼女は、宮城県石巻市を舞台にした漫画『リバーエンド・カフェ』(たなか亜希夫著、双葉社)の主人公・入江サキ。東日本大震災で両親を亡くした。絆の文字を見ると「何本ものロープで繋(つな)がれて…牛や馬が苦しい働きを強いられている感じがする」と言う▼絆は昨今、人と人との断ち難い結び付きという意味で使われることが多い。震災後には、支え合いや助け合いを象徴する言葉となった。一方、動物を繋ぎ留める綱のことも指し、語源はこちらだとされる。「縛る絆」が「結ぶ絆」に転じたということか▼「自粛警察」「マスク警察」「帰省警察」。コロナ禍で相互監視の風潮が強まった。人事権を使って官邸が官僚を縛ったことが「忖度(そんたく)政治」の一因とも。目指す社会像として菅首相は「自助・共助・公助、そして絆」を掲げる。「結ぶ絆」であってほしい▼とある縁からサキは、題名と同じ名の喫茶店が居場所に。いじめのいきさつを聞いてマスターがこう語る。「悪くない。(略)思ったことを口に出すというのは《自由》だ」と。異論を受け入れる寛容な社会でありたい。「結ぶ」を「縛る」にしないためにも。
 

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