ポンプで空気送り根が成長 太陽光発電で台風に強い稲 オーストリアの環境賞受賞 横浜・まちづくり協

エネルギーグローブ賞を受賞した「強い米」開発プロジェクトのメンバー(前列左が鈴木代表)

太陽光発電で送電線がなくても電力の供給が可能(いずれも横浜市で)

 横浜市青葉区で活動する恩田町堀之内地区まちづくり協議会が、オーストリアで創設された国際環境賞である「エネルギーグローブ賞」で、今年の国別賞(日本)を受賞した。同協議会の太陽光発電を使って丈夫な稲を作るプロジェクトが、水田農業が普及しているアジア諸国の食料安全保障を改善するのに役立つ優れた研究として、高く評価された。
 

途上国での普及 展望


 同協議会はJA横浜の組合員である鈴木敏文さん(69)を代表に、地域の課題と向き合うために2017年に設立。季節ごとに住民参加型のイベントを開き、誰もが快適に生活できるまちづくりを目指している。稲作が盛んな地域で、鈴木代表も米作りに励むが、台風が近づくたびに稲が倒れてしまうのが課題だった。

 そこで強風に負けない強い稲を作ろうと、鈴木さんら7人で「送電線に接続せず移動可能な再生可能エネルギーを利用した『強い米』開発プロジェクト」を立ち上げた。エネルギー関係の仕事をするメンバーの三沢一浩さんの紹介で、産業技術大学院大学客員研究員を務めた桐原悦雄さんをアドバイザーに迎え、鈴木さんの水田約12アールで実験を始めた。

 水田に引き込む用水に、太陽光発電で駆動させたエアーポンプで空気を送り込み、稲根の成長を促して台風でも倒れにくい稲を目指した。用水を通して土が空気を含むことで根の張りが良くなり、昨年9月の台風では強風にあおられたものの、倒れずに持ちこたえた。

 省電力かつ安価な装置を目指し、市販のコンテナボックスの中にバッテリーやインバーターなどの機器類を収納。タイマーでポンプのオンオフを切り替えられるようにして、電力の消費を抑える。

 今年はさらに改良を加え、太陽光パネルの大きさを倍にした他、空気を吹き出すホースを1本から4本に増やし、細かい泡と普通の泡を供給するようにした。農業IoT(モノのインターネット)にも取り組み、桐原さんが機器を開発。自動で写真撮影をする他、水位と水温も自動で計測し、現地に行かなくてもスマートフォンで確認できる。データはクラウドに保存され、2次元コード(QRコード)を読み取れば誰でも閲覧できる。

 鈴木代表は「名誉な賞を頂き、これを励みに今後も挑戦を続ける。移動が可能で、送電線がなくても電力を発生できるこの技術を活用してもらえるよう、アジア以外の途上国にも紹介していきたい」と話す。

 エネルギーグローブ賞は、1999年にオーストリアで創設された、優れた環境プロジェクトに授与される国際的な賞。世界的にも高い評価を受けている最も重要な環境賞として、毎年世界中から、持続可能な環境プロジェクトが応募されている。
 

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