迫田さおりさん(元バレーボール日本代表) 引退後に知る郷土の特産

迫田さおりさん

 出身は鹿児島で、高校を出てから滋賀が拠点の東レアローズに入りました。

 私は2010年に初めて日本代表に選んでいただいたのですが、当時代表は鹿児島で合宿を行っていたのです。合宿先でみそ汁を飲んだ時、「ああ、帰ってきた」と懐かしく感じました。

 具がどうのこうのではないんですね。懐かしさを感じたのは、みそです。鹿児島は麦みそを使います。滋賀では白みそでした。
 

合宿の癒やしに


 代表での合宿はすごく気が張り、ピリピリしていました。そんな中にあって、食事はゆっくりとくつろげる癒やしの時間。地元の味に触れられて、心が和みました。

 合宿中には、さつま揚げや地元の菓子を差し入れていただきました。これもまたおいしく、懐かしく感じたんです。

 さつま揚げといえば、子どものころ、父と魚屋さんに買いに行った時のことを思い出します。さつま揚げを買って車の中に置いて、別の用事で出たんです。戻って来たら、車の窓をちゃんと閉めていなかったので、猫が入ってきて全部食べられちゃったんですよ。「やられたあ」と父は悔しがり、私は笑い話のネタにしました。

 菓子といえば、明石屋の軽羹(かるかん)と蒸氣屋のかすたどん。軽羹はすり下ろした山芋を使ったふんわりとした菓子。かすたどんは、カスタードクリームを軟らかいスポンジで包んで蒸したものです。

 軽羹には餡(あん)入りのものと入っていないものがあり、どちらが好きかと意見が分かれます。私は餡の入っていない方が好きですね。これに急須で入れた知覧茶があれば、バッチリです。

 蜂楽饅頭(まんじゅう)という大判焼きみたいな菓子も名物で、これには黒餡入りと白餡入りがあります。高校時代、部活帰りに寄って買ったんですが、お小遣いが少ないから1個しか買えません。「今日はどっちにしよう」と悩んだことを思い出します。

 眞鍋(政義)監督時代は、代表は毎年鹿児島で合宿をしたので、そのたびに私は心が和みましたし、他の選手に鹿児島の食の魅力を伝えたりしました。

 私は滋賀で11年プレーをして、現役を引退。今は鹿児島と東京を往復する生活をしています。
 

楽しい食べ歩き


 高校時代までは何気なく食べていただけで、鹿児島特産のおいしい物のありがたみを分かりませんでした。代表の合宿で過ごしたとはいっても、年に1、2週間くらいの短い期間ですし、食べ歩きをするわけにはいきません。鹿児島の本当の食の魅力を知ったのは、引退してからです。

 私は小さいころからオクラが大好き。細かく刻んでしょうゆと混ぜて食べると最高です。鹿児島県は、オクラの生産量が日本一だということを知りました。

 サツマイモも、取れる地域で味が違うことを知りました。頴娃町(南九州市の一部)の「えいもちゃん」をいただいた時は、あまりのおいしさにびっくりしました。種子島の「安納芋」も好きですが、それとは違ったおいしさ。ホクホクとした食感で食べやすいんです。

 先日は鹿児島ラーメン王決定戦で2度も優勝している指宿のTAKETORAに初めて行き、とんこつラーメンを食べました。今度は仙巌園に行って、名物のぢゃんぼ餅を初めて食べるつもりです。

 今まで知らなかった鹿児島のおいしい物を食べることで、郷土の魅力を知り、人に伝えていけれればと思っています。(聞き手=菊地武顕)

 さこだ・さおり 1987年鹿児島県生まれ。県立鹿児島西高を卒業後、2006年に東レアローズに入団。10年4月に日本代表メンバーとなり、12年のロンドン五輪で女子バレー28年ぶりのメダル獲得の立役者となった。16年のリオ五輪では5位入賞。17年に引退後は、主要大会の解説やバレーボールクリニックなどで活躍。
 

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