[滋賀・JAこうか移動編集局] 「忍者の里」動く ドクダミ産地化 手間かからず“半永久的”

収穫を間近に控えたドクダミ。定植2年目で、収穫は今年7月に続き2回目となる(滋賀県甲賀市で)

 滋賀県のJAこうかは、薬草として知られるドクダミの産地化に力を入れている。一度植えると半永久的に収穫できて毎年定植する必要がない他、茶の刈り取り機が使えるなど、手間がかからない点に着目。耕作放棄地中心に導入し、農地再生につなげたい考えだ。JA管内は薬の扱いにたけていたとされる甲賀忍者ゆかりの地。かつて得意とした薬草の産地化に“忍者の里”が動きだした。
 

放棄地解消へ一手


 ドクダミはハート形の葉が特徴の多年草で、全国に分布する。開花期の葉と茎は薬効の多さから「十薬」と呼ばれ、利尿や消炎の作用の他、便秘にも効果があるとされる。古くから民間療法に使われ、日本三大民間薬の一つに数えられている。現代でもドクダミ茶の原料に使われるなど、健康志向の消費者を中心に人気を集める。

 JAは2019年に産地化に乗り出した。JA営農経済部の上田典孝次長は「管内の遊休農地が200ヘクタールを超え、何とか活用できる作物はないかと模索していた」と振り返る。
 

茶どころ強み収穫機を転用


 決め手となったのは、栽培に手間がかからない点だ。ドクダミは多年草で、苗を一度植えると「半永久的」(上田次長)に収穫できる。さらに、茶の刈り取り機を転用することで収穫を機械化できる。全国有数の茶産地を抱えるJAならではの強みを生かすことができた。

 他にも、ドクダミは湿地でよく育つため、耕作放棄地のほぼ全てが水田だったことも有利に働いた。JAの栽培モデルでは、1年目の4月ごろに苗を定植、2年目から収穫が可能となる。収穫は夏と秋の2回で、収穫後は追肥をする。

 鍵を握るのは雑草対策だ。JAによるとドクダミには使える除草剤がなく、手作業で取り除くしかない。昨年から5アールで栽培する大平啓治さん(70)は「定植後に小まめに雑草を取り除き、いかに密に生育させるかが重要となる。ドクダミが定着すれば、雑草は次第に生えにくくなる」と強調する。

 JA管内の20年の栽培面積は、前年(10アール)の4倍に当たる37アールに広がった。収穫されたドクダミはJAが全量を集荷し、茶などの加工品の原料向けに出荷する。上田次長は「今後は雑草対策や施肥体系を確立し、10アール5トンの収量を目指す。ドクダミ栽培を耕作放棄地対策の柱の一つにしたい」と、意気込みを見せる。
 

伸びる 国産需要


 日本特産農産物協会によると、国内のドクダミ栽培面積は、データがある直近の18年産で666アール。16年産まで長らく200アールを切っていたが、17、18年産で急拡大した。県別では、兵庫(253アール)と徳島(250アール)での栽培が盛んで、両県で全体の8割近くを占めている。

 農水省は「(ドクダミを含む)薬用作物は全般的に国産の需要が伸びている」(生産局)と指摘する。

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