野生動物の侵入を確認 群馬・豚熱発生農場
2020年10月08日
群馬県高崎市で発生した豚熱について農水省は7日、感染したイノシシから野生動物を介して農場にウイルスが持ち込まれた可能性が高いとの見方を示した。離乳豚の飼育箱周辺にカラスや猫、ネズミなどが侵入していた。同省は県に対し、県内の全農場に飼養衛生管理基準の確認や順守の再徹底、早期通報を求めるよう指導した。
同日、専門家でつくる同省の疫学調査チームでまとめた。飼育箱の半数には屋根がなく、防鳥ネットなどもないこと、飼育箱に入る際は長靴の消毒などは行っていないことも感染の要因に挙げた。農場内のウイルス感染状況を踏まえ、感染した時期は7月末~8月中旬と推定した。
農場から県への通報は9月25日だったが、「(県が任命している獣医師の)家畜防疫員が子豚の下痢と死亡を確認した17日には豚熱を疑うべきだった」(同省動物衛生課)と指摘した。繁殖豚や肥育豚にはワクチンの効果を確認できたとしている。
飼養豚への豚熱ワクチン接種が始まって、10月で1年となる。イノシシへの豚熱ウイルスの感染が拡大し、ワクチン接種継続農場で豚熱が初めて発生するなど懸念が広がっている。豚熱研究第一人者の北海道大学大学院獣医学研究院の迫田義博教授に必要な対策などを聞いた。
──ワクチン接種を続けている農場で、豚熱の発生が確認されました。原因と影響をどう考えますか。
野生のイノシシによる感染が大きい。イノシシの感染は東北にまで広がってしまった。多くのウイルスが存在しているのが現状だ。結果として、豚へのワクチンを打つ地域が広がり、今後深刻な影響が出る可能性がある。
生きた豚は、ワクチン接種地域から非接種地域に移動できない。東北は種豚産地だ。豚熱の発生が確認されていない北海道でも九州などの非接種地域から種豚を確保する必要が出てくるかもしれないが、そう簡単ではない。
──生産現場はどんな対策が必要ですか。
接種地域では、接種プログラムを地道に実行する、努力の積み重ねが必要だ。抗体検査を行う他、得たデータの解析や必要に応じた接種計画の修正も必要となる。
ワクチン接種で免疫が獲得できる豚は8割を超えるが、それは決められた接種計画を守ることが前提だ。母豚からの移行抗体が多い生後30日未満の子豚に注射しても、無駄が多い一方、接種時期が遅れると移行抗体が切れて野外のウイルスに対し無防備になる。
非接種地域も含め、飼養衛生基準やエコフィード対策を徹底してほしい。沖縄県での発生を重く受け止め、全国で意識を高める必要がある。
──国がすべき対策は。
今回の群馬県での発生は、ウイルス侵入時期や感染経路などを総合的に分析し、新たな発生防止に活用しなければならない。
イノシシの予想以上に早い感染拡大で、ワクチンの接種地域と非接種地域に含まれる都道府県の比率が逆転している。営農に影響が生じるようであれば、全地域での接種も選択肢として議論を進める時期だ。
ワクチンを打つことが認められている、都道府県の獣医師の不足も大きな課題だ。農家や民間の獣医がワクチンを接種できるようになれば、人員不足は解消するが、計画を順守する教育が必要だ。
イノシシに対する安価で長期間有効な経口ワクチンの開発や、海外からの検疫もしっかり進めるべきだ。海外旅行客が増えれば、アフリカ豚熱の脅威も再び高まる。
感染を食い止めるには時間がかかる。産地も国も衛生レベルを一層高める覚悟が求められる。(聞き手・望月悠希)
さこだ・よしひろ 1970年生まれ。94年、北海道大学獣医学部卒。2014年から現職。専門は、感染症など。
同日、専門家でつくる同省の疫学調査チームでまとめた。飼育箱の半数には屋根がなく、防鳥ネットなどもないこと、飼育箱に入る際は長靴の消毒などは行っていないことも感染の要因に挙げた。農場内のウイルス感染状況を踏まえ、感染した時期は7月末~8月中旬と推定した。
農場から県への通報は9月25日だったが、「(県が任命している獣医師の)家畜防疫員が子豚の下痢と死亡を確認した17日には豚熱を疑うべきだった」(同省動物衛生課)と指摘した。繁殖豚や肥育豚にはワクチンの効果を確認できたとしている。
豚熱拡大を防ぐには 北海道大学大学院獣医学研究院 迫田義博教授に聞く

迫田義博教授
──ワクチン接種を続けている農場で、豚熱の発生が確認されました。原因と影響をどう考えますか。
野生のイノシシによる感染が大きい。イノシシの感染は東北にまで広がってしまった。多くのウイルスが存在しているのが現状だ。結果として、豚へのワクチンを打つ地域が広がり、今後深刻な影響が出る可能性がある。
生きた豚は、ワクチン接種地域から非接種地域に移動できない。東北は種豚産地だ。豚熱の発生が確認されていない北海道でも九州などの非接種地域から種豚を確保する必要が出てくるかもしれないが、そう簡単ではない。
──生産現場はどんな対策が必要ですか。
接種地域では、接種プログラムを地道に実行する、努力の積み重ねが必要だ。抗体検査を行う他、得たデータの解析や必要に応じた接種計画の修正も必要となる。
ワクチン接種で免疫が獲得できる豚は8割を超えるが、それは決められた接種計画を守ることが前提だ。母豚からの移行抗体が多い生後30日未満の子豚に注射しても、無駄が多い一方、接種時期が遅れると移行抗体が切れて野外のウイルスに対し無防備になる。
非接種地域も含め、飼養衛生基準やエコフィード対策を徹底してほしい。沖縄県での発生を重く受け止め、全国で意識を高める必要がある。
──国がすべき対策は。
今回の群馬県での発生は、ウイルス侵入時期や感染経路などを総合的に分析し、新たな発生防止に活用しなければならない。
イノシシの予想以上に早い感染拡大で、ワクチンの接種地域と非接種地域に含まれる都道府県の比率が逆転している。営農に影響が生じるようであれば、全地域での接種も選択肢として議論を進める時期だ。
ワクチンを打つことが認められている、都道府県の獣医師の不足も大きな課題だ。農家や民間の獣医がワクチンを接種できるようになれば、人員不足は解消するが、計画を順守する教育が必要だ。
イノシシに対する安価で長期間有効な経口ワクチンの開発や、海外からの検疫もしっかり進めるべきだ。海外旅行客が増えれば、アフリカ豚熱の脅威も再び高まる。
感染を食い止めるには時間がかかる。産地も国も衛生レベルを一層高める覚悟が求められる。(聞き手・望月悠希)
さこだ・よしひろ 1970年生まれ。94年、北海道大学獣医学部卒。2014年から現職。専門は、感染症など。
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2021年03月06日
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星空の黒牛 くちどけフレーク 北海道標茶町
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肉を特殊な殺菌水で処理し、トリミングを経て加工する。国の分類では「冷凍牛生ハム」に区分されるが、生ハムのような塩分はない。野趣な生肉を感じさせる風味と食感、8割が赤身というヘルシーさが人気の秘密。購入してから1時間以内に食べるか、冷凍保存が必要だ。
1箱(180グラム)2200円(税別)。問い合わせはエフシーエス、(電)015(485)1938。
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2021年03月06日

東日本大震災から10年 農業産出額 被災3県増加傾向 福島は水準戻らず
東日本大震災からの復興に向けた懸命の努力で、被災3県の農業産出額はいずれも増加傾向にある。だが、福島県だけは震災前の水準に戻っていない。岩手、宮城の両県が震災前を2割近く上回るのとは対照的だ。営農再開の遅れに加え、「風評被害」も課題となっている。
2018年の産出額は岩手が2727億円、宮城は1939億円。震災前の10年に比べると、それぞれ19%、16%増え、全国平均の11%を上回る伸び率となった。だが、福島県の18年の産出額は同9%減の2113億円。震災後に、震災前を上回った年は一度もない。
営農再開率3割
産出額が回復しない要因の一つは、東京電力福島第1原子力発電所事故で避難を強いられた12市町村の営農再開率が約3割にとどまることだ。12市町村の産出額は127億円で、こちらも震災前の約3割だった。
農水省や福島県などでつくる官民合同チームの調査では、この12市町村で営農再開の意向がないか未定の農家のうち、所有する農地を貸し出してもいいと考えている人が7割いた。同省は営農再開の加速に向け、こうした農地を集めて担い手にマッチング(結び付け)することが重要だと指摘。4月に施行する改正福島特措法で、これを後押しする。
同法は、市町村が行っている農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた農地集積の計画作成などを、福島県もできるようにした。市町村の職員が不足する避難解除区域での集積をさらに進めるためだ。新たな制度を通じ、同省は25年度末までに12市町村の営農再開面積を震災前の60%に当たる1万378ヘクタールにすることを目指す。
風評被害も課題
福島県では、風評被害も大きな課題のままだ。消費者庁の2月の調査によると、同県産の食品の購入をためらう消費者の割合は8・1%。過去最小となったが、今も一定に存在する。同県の主要農産物の価格が全国平均を下回る状況も続いている。全国平均に比べ、米は約3%、牛肉は11%、桃は16%下回る。
原発事故後、同県産をはじめとした日本産食品の輸入規制をする国・地域は最大で54あったが、15まで減った。19年の同県産の農産物の輸出量は過去最高を更新。だが日本の主要な輸出先の香港や中国などは、今も同県産の輸入規制を続ける。
風評被害の払拭(ふっしょく)に向け、同省はテレビCMやウェブを通じた県産農産物のPRなどを支援。20年には卸や小売業者に対し、同県産を取り扱わなかったり、買いたたいたりしないように求める通知も出した。輸入規制の撤廃は、昨年4月に設置した農林水産物・食品輸出本部が外務省などと連携し、各国への働き掛けを進めている。
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2021年03月07日

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2021年03月08日
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2021年03月09日
[新型コロナ] 飲食店取引先の一時金申請開始 収入5割減が対象
経済産業省は8日、新型コロナウイルス対策として、飲食店の取引先などに支払う一時金の申請受け付けを始めた。農家も対象となり、緊急事態宣言の再発令の影響で1~3月のいずれかの1カ月間の収入が、2019年か20年と比べて5割以上減ったことが条件。法人は60万円、個人は30万円が上限だ。申請はオンラインで5月31日が締め切り。不正受給を防ぐため、金融機関などによる事前確認が必要となる。
一時金は、1月の緊急事態宣言の再発令を受けた飲食店の時短営業や外出自粛などの影響で、21年1~3月のいずれかの1カ月間の事業収入が50%以上減った中小・個人事業者に支払う。……
2021年03月09日
2018年産かんきつ収穫量 和歌山が全国1位に 農水省調査
2018年産の温州ミカンや中晩かんを含むかんきつ収穫量で、和歌山県が44年連続1位だった愛媛県を上回り、1位となったことが農水省の調査で分かった。愛媛県は同年7月の西日本豪雨で園地が被災し、ミカンの収穫量が減った。
農水省は2月までに、ミカンとかんきつ類の収獲量の調査結果をそれぞれまとめた。……
2021年03月09日

歌って踊って日本酒飲んで 農水省チャンネル新動画を公開
新型コロナウイルスの影響で落ち込む日本酒の消費を喚起しようと、農水省がユーチューブ公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で、新たな動画を公開した。同省の若手職員や酒造好適米の生産者らが次々に登場し、日本酒で乾杯を呼び掛けるダンスを全力で踊る内容だ。
日本酒造組合中央会が制作した動画「日本酒ダンス」を基に、ダンス動画で人気のユーチューバーの指導も受けながら制作し、5日に公開。その日のうちに数千回の視聴があった。
動画には、若手を中心とする同省職員40人超が出演。ラップ音楽と共に、同省の大臣室前や地方農政局の事務所など、次々に舞台を変えて踊る様子が流れる。宮城県内の酒米生産者3人も出演し、ダンスを披露している。
日本酒はコロナ禍を受け2020年は前年比で国内出荷量が11%減、輸出量は13%減。こうした苦境を背景に、ラップの歌詞では「酒米、来年は作れないかもしれない」と危機感を強調。会食が困難な中で「リモート飲み会」を呼び掛けるなどで、消費拡大を訴える。
ばずまふの運営メンバーで動画制作を提案した同省鳥獣対策・農村環境課の吉村真里菜さんは「皆が酒米や日本酒の産地が元気になることを祈りながら踊った。特に、日本酒になじみの薄い若い人たちに魅力を届けたい」という。
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2021年03月08日

リーフ茶「飲む回数増えた」 コロナ下で若者の行動に変化
若い世代(18~29歳)の26%が、新型コロナウイルス下でリーフ茶(茶葉からいれた緑茶)の飲用頻度が「増えた」と回答したことが、農水省の調査で分かった。家で過ごす時間が長くなったことや健康への関心が高まったことが背景にある。ペットボトル緑茶飲料の浸透で茶葉離れが課題だった消費に、変化が見られた。
農水省が「緑茶の飲用に関する意識・意向調査」を、昨年10月中旬から11月上旬にかけて実施し、18歳以上の男女1000人から回答を得た。
リーフ茶の飲用頻度が「増えた」と回答した人は全世代合計では14%(143人)だったが、18~29歳の世代では「とても増えた」「少し増えた」と回答した人が26%(36人)に上った。
増えた理由(複数回答)として、18~29歳世代では「自宅で食事する時間が増えたから」(67%)が最多。「自宅でくつろぐ時間が増えたから」(47%)、「健康機能性に魅力を感じたから」(44%)、「家族と過ごす時間が増えたから」(22%)と続いた。
リーフ茶飲用頻度が「増えた」と回答した全世代で、茶葉購入先(複数回答)として「増えた」のは「スーパー」(75%)、「インターネット販売」(30%)、「茶専門店」(29%)、「ドラッグストア」(21%)。
ネット購入が増えたと回答した人の割合は60代がトップ(42%)、次いで70代(36%)と高齢層の電子商取引(EC)利用の急伸も見てとれる。18~29歳の世代は33%でそれに続いた。
茶葉は緑茶飲料や他の飲料にシェアを奪われ、需要が減少している。コロナ下での業務需要の落ち込みも拍車を掛け相場が低迷し、消費喚起が課題となっている。
農水省は「リーフ茶飲用の機会増加を捉えて、茶業界には若者がさらにお茶を飲むような取り組みを期待したい」(茶業復興推進班)と話す。
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2021年03月08日

桃 初の10万トン割れ せん孔細菌病が多発 20年収穫量
2020年産の桃の収穫量が9万8900トンとなり、前年産より9000トン(8%)減ったことが農水省の調査で分かった。4年連続の減少で、同省の統計開始以降初めて10万トンを割り、過去最低となった。主産地の福島県や長野県などで、葉や果実に穴が開く「せん孔細菌病」が多発したことが要因。同省は20年度第3次補正予算に同病の防除対策を盛り込み、生産継続を支援する。
都道府県別の収穫量は、全国1位の山梨県がほぼ前年並みの3万400トン。同2位の福島県は2万2800トンで同16%減、同3位の長野県は1万300トンで14%減った。果実を収穫するために実らせた結果樹面積は全国で9290ヘクタールで、3%減った。一方、全国の10アール当たり収量は6%減の1060キロだが、福島県、長野県では、ともに12%の減少だった。
両県の収穫量の減少について、同省はせん孔細菌病の多発を要因に挙げる。対策として同省は、20年度第3次補正予算で、同病などを対象とした「重要病害虫等早期防除対策事業」に4億6300万円を計上した。福島や長野など、同病の被害が拡大している地域のJAや複数の農家でつくるグループが対象。発生状況の調査や枝葉の病斑の除去などの経費として、最大半額まで補助する。
希望者は、防除の時期や取組内容などを盛り込んだ事業計画書を地方農政局に提出する。予算の限度額に達していない場合、年度をまたいでの申請でも認められるが、同省は「まん延を早期に防止するためにも、早めに申請してほしい」(植物防疫課)と説明する。
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2021年03月07日
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
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2021年03月06日
有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省
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次ページに新戦略のポイントの表があります
2021年03月06日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
2021年03月06日
農地所有適格法人 現行要件 「支障」2割 規制会議に調査示す 農水省
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、農水省に意見を聞いた。同省は、現行要件では資金調達などに「支障がある」とする法人が約2割だったとの調査結果を提示。農業関係者が今後も経営権を確保する必要性を示しつつ、一定の条件下で出資による資金調達の在り方についても検討する必要があるとの考えを示した。
同会議は、「農業者の資金調達の円滑化」を名目に、同法人の議決権要件緩和に関心を示す。……
次ページに調査結果の表があります
2021年03月06日