GI登録数「100」迫る 伝統継承の“光”に

出荷する「ところピンクにんにく」の品質を確認するJAところの担当者。GI登録によりPRや農家の生産意欲向上を目指す(北海道北見市で)

 地域のブランドを守る地理的表示(GI)保護制度を活用し、産地の伝統的な産品をPRする潮流が高まってきた。地域の特性を生かして栽培した野菜や果実などを知的財産と位置付け、偽物の取り締まりにも効果を発揮する。国の登録数は2020年度内にも100に達する見通しだ。申請手続きの煩雑さなどはあるものの、登録を目指す地域は担い手を確保し、栽培機運を高めることを狙う。(尾原浩子)
 

偽物防ぎ産地PR


 北海道北見市のJAところは、「ところピンクにんにく」発祥の地。明治時代からJA管内で栽培を続けてきた在来種で、収穫直後のニンニクが薄いきれいなピンク色であることから命名された。

 40年以上前は100ヘクタールを超えるほど栽培は盛んだったが、海外産の台頭などで近年は栽培面積が激減。手作業が多く、手間を必要とするため新たな農家の参入も進まない。現在は農家12戸が13ヘクタールで栽培し、産地を何とか守っている。

 JAが厳しい状況の打開策として登録を目指すのが、GIだ。産地の団結を高め、PR効果を狙う。3年前から準備を進めて申請し、20年度内の登録を目指す。JAの川上和則組合長は「産地を絶やさないためにもGIに登録し、付加価値を高めたい」と意欲的だ。

 農水省によると、現在の登録数は98で、間もなく100に達する見通しだ。制度が発足した5年前は「神戸ビーフ」「夕張メロン」など全国的に名が知られている農作物が主流だった。しかし、ここ数年は「三瓶そば」(島根県大田市)、「大竹いちじく」(秋田県にかほ市)など、各地の農家らが地道に栽培し続けてきた農作物や食品の登録が広がる。

 波及効果は地域によって異なる。1000年の歴史があるとされる福井県鯖江市の「吉川ナス」は、「登録を励みに新規で栽培する農家が増えた」(同市農林政策課)という。

 福島県の南会津地方で作られる「南郷トマト」は18年に登録。JA会津よつばは「偽ブランド、まがい品の取り締まりができるようになった効果が大きい。登録をきっかけに産地の知名度や団結力が高まった」(園芸課)と認識する。ただ、過疎化が進み、生産基盤をどう維持するかが問われているという。

 GI保護制度は品質の特性が地域と結び付いているものが対象で、基準を満たすものに表示を認める。GIマークを付けることで「国がお墨付きを与えた」ものであることが分かる。

 農水省は「基準を守ることが難しいなどの理由で登録を維持できなくなったケースもあるが、GIのPR効果は大きい。地域全体で登録の基準を守る体制が鍵となる」(知的財産課)と説明している。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは