[未来人材] 38歳。黄ニラ農家の3代目 父急死も奮闘 技術向上へ育苗挑戦 岡山市 山本浩貴さん

祖父と父から受け継いだ黄ニラ栽培に力を入れる山本さん(岡山市で)

 6年前に就農した岡山市の山本浩貴さん(38)は、黄ニラ農家の3代目として、栽培技術に磨きをかける。サラリーマン時代に配管工事を請け負った経験があり、畑の用水管も自身で修理するほどの腕前だ。同市牟佐地区に黄ニラ栽培を取り入れた祖父と、山本さんの就農直前に急死した父から受け継いだバトンを次世代につなぐためにも、品質の高い黄ニラ生産へ試行錯誤を重ねる。

 同市出身の山本さんは、高校を卒業して地元企業に就職。プロパンガスの営業で施設栽培の農家を中心に回った。実家が農家だったこともあり、営業先で出会う同世代の担い手との交流を通して、山本さん自身も就農を目指すようになった。

 しかし就農を決意した直後、父親が病気で急死した。突然のことだったが「自分が引き継がないといけない」と自身を奮い立たせ、14年間勤めた会社を辞めた。

 32歳で就農し、農業大学校と黄ニラ農家の下でおよそ1年半研修した。34歳で独立したが、苦労の連続だった。農業のノウハウを教えてくれるはずの父親を思わず探したこともあった。「父親の栽培日誌が頼りで、それを見て必死に勉強した」という。

 今は1ヘクタールで栽培し、周年で出荷する。黄ニラは4月の種まきから収穫までに1年以上かかる。種まきから1年後に伸びた青葉を株元で刈り取り、マルチシートで株を覆うようにトンネルを作り、暗所で育てる。光合成を抑えることで鮮やかな黄色に仕上がる。収穫後は温度や湿度で変色してしまうため、素早い調製が必要だ。

 2018年7月の西日本豪雨では畑の9割が水没し、土砂も流入した。影響は大きかったが、浸水被害だけだった畑のニラは助かり、ニラが水害に強いことを改めて実感。水害が多い地域だけに、品目の選択に自信を持てた。

 栽培は試行錯誤の連続だが「特産の黄ニラを途絶えさせたくない。次世代につなげたい」という思いは強い。父の作っていた黄ニラの品質にはまだ及ばないが、育苗を取り入れるなど、栽培技術向上に余念がない。
 

農のひととき


 2019年から岡山市牟佐地区大久保集落で、ヒマワリ畑による観光客誘致をしている。西日本豪雨で被害を受けた農地10アールでの緑肥活用がきっかけだった。インターネット交流サイト(SNS)で人気が広がり、中山間地の同集落に人が押し寄せた。

 今年は集落で地域おこしに本腰を入れて、耕作放棄地も活用して65アールに作付けをした。高齢化が進む地域だが、豪雨からの「復興のシンボル」としてPRする。
 

おすすめ記事

若者力の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは