自然学校ピンチ 7割「売り上げ半減」 コロナで活動縮小
2020年10月13日
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、小中学生らの自然・農村体験を受け入れる自然学校の利用者が減り、見込みより売り上げが21億円減少していることが公益社団法人日本環境教育フォーラムなどの調査で分かった。全国154カ所で経営状況を調査。昨年と比べて売り上げが「半分以上減った」との回答は7割弱に上った。
調査は8、9月に実施。2020年4~9月の見込み額と実際の売り上げを比較したところ合計21億円の減少となった。減少額が3億円を超える事例もあった。調査対象の1件当たり平均減少額は1526万円に上る。
昨年の売上額と比べて減少率が75%以上になった回答者は、全体の33%を占めた。50~75%未満の減少は34%、25~50%未満と25%未満の減少がともに16%だった。同フォーラムによると地域でのコロナの感染リスクに配慮し、受け入れを見送る例も多いという。
長野県泰阜村の山あいのキャンプ場。五右衛門風呂は茂った草に埋もれ、キャンプファイアにも使うために準備していたまきは山積みのまま。毎年夏はNPO法人グリーンウッド自然体験教育センターが企画する小中学生向けのキャンプでにぎわうが、今年は中止になった。
「地元には高齢者が多い。感染リスクを考えると地域外から人を呼ぶことはできなかった」。法人代表の辻英之さん(50)はそう説明する。
例年1000人が訪れる夏のキャンプは法人の収入の半分を占める。大幅な減収は「34年間活動してきた中で、間違いなく一番のピンチ」(辻さん)だ。国の持続化給付金や雇用調整助成金なども活用するが「焼け石に水」という。年末年始は小中学生が地域住民と餅つきや正月飾り作りなどの伝統行事を体験する企画を続けてきたが、今年の開催はまだ決めていない。
辻さんは「コロナ禍で自然に触れることの良さに気付いた人は多い。今後、自然学校の需要は増すはず」と考え、再開に向けて資金調達などに奔走する。
自然学校の再開を望む声は、地域からも出ている。野菜を提供するなどして毎年交流してきた宮島康夫さん(72)は「子どもの元気な声が聞こえなかった今年の夏は、寂しかった。以前のような、にぎやかな夏がまた来てほしい」と願う。
宮崎県五ケ瀬町で小中学生の自然体験を受け入れる認定NPO法人五ケ瀬自然学校も2~7月は、ほとんどのキャンプやイベントを中止・延期。8月からは定員を半分以下にしてキャンプを再開したが、収入は回復していない。
毎年冬は、国内最南端の五ケ瀬ハイランドスキー場でスキーキャンプを開く。今冬は「密」を避けながらの開催方法を探る。「冬も中止となれば経営は相当苦しくなる」と理事長の杉田英治さん(53)。「人数を減らすなどして感染防止を徹底し、延期した行事を開けるようにしたい」と切望する。
自然学校を支援するため、公益社団法人日本環境教育フォーラムと全国75の自然学校は、クラウドファンディング「自然学校エイド基金」を設立。1000万円を目標に、16日まで寄付を募っている。1口3000円から受け付け、各自然学校の運転資金や感染防止対策のための費用などに充てる見通しだ。
同フォーラムの加藤超大事務局長は「当面の手当て。経営難を打開するには十分ではない。自然学校がなくなってしまえば、自然や環境を大切に思う人を育てることに支障が出かねない」と指摘。必要に応じて追加の寄付も検討する方針だ。
調査は8、9月に実施。2020年4~9月の見込み額と実際の売り上げを比較したところ合計21億円の減少となった。減少額が3億円を超える事例もあった。調査対象の1件当たり平均減少額は1526万円に上る。
昨年の売上額と比べて減少率が75%以上になった回答者は、全体の33%を占めた。50~75%未満の減少は34%、25~50%未満と25%未満の減少がともに16%だった。同フォーラムによると地域でのコロナの感染リスクに配慮し、受け入れを見送る例も多いという。
夏のキャンプ中止・延期も…必要とされる日を信じて
長野県泰阜村の山あいのキャンプ場。五右衛門風呂は茂った草に埋もれ、キャンプファイアにも使うために準備していたまきは山積みのまま。毎年夏はNPO法人グリーンウッド自然体験教育センターが企画する小中学生向けのキャンプでにぎわうが、今年は中止になった。

辻さんらが夏のキャンプのために用意したまきは、今も積み上がったままだ(長野県泰阜村で)
例年1000人が訪れる夏のキャンプは法人の収入の半分を占める。大幅な減収は「34年間活動してきた中で、間違いなく一番のピンチ」(辻さん)だ。国の持続化給付金や雇用調整助成金なども活用するが「焼け石に水」という。年末年始は小中学生が地域住民と餅つきや正月飾り作りなどの伝統行事を体験する企画を続けてきたが、今年の開催はまだ決めていない。
辻さんは「コロナ禍で自然に触れることの良さに気付いた人は多い。今後、自然学校の需要は増すはず」と考え、再開に向けて資金調達などに奔走する。
自然学校の再開を望む声は、地域からも出ている。野菜を提供するなどして毎年交流してきた宮島康夫さん(72)は「子どもの元気な声が聞こえなかった今年の夏は、寂しかった。以前のような、にぎやかな夏がまた来てほしい」と願う。
宮崎県五ケ瀬町で小中学生の自然体験を受け入れる認定NPO法人五ケ瀬自然学校も2~7月は、ほとんどのキャンプやイベントを中止・延期。8月からは定員を半分以下にしてキャンプを再開したが、収入は回復していない。
毎年冬は、国内最南端の五ケ瀬ハイランドスキー場でスキーキャンプを開く。今冬は「密」を避けながらの開催方法を探る。「冬も中止となれば経営は相当苦しくなる」と理事長の杉田英治さん(53)。「人数を減らすなどして感染防止を徹底し、延期した行事を開けるようにしたい」と切望する。
ファンドで寄付募る
自然学校を支援するため、公益社団法人日本環境教育フォーラムと全国75の自然学校は、クラウドファンディング「自然学校エイド基金」を設立。1000万円を目標に、16日まで寄付を募っている。1口3000円から受け付け、各自然学校の運転資金や感染防止対策のための費用などに充てる見通しだ。
同フォーラムの加藤超大事務局長は「当面の手当て。経営難を打開するには十分ではない。自然学校がなくなってしまえば、自然や環境を大切に思う人を育てることに支障が出かねない」と指摘。必要に応じて追加の寄付も検討する方針だ。
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1本(220グラム)500円(税別)。JAの直売所「喜ね舎(や)愛菜館」(福井市)やAコープなどで販売。
問い合わせは「里山食うらぶ」の池田美子代表、(電)090(1635)3463。
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2021年01月20日
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小売りも勢い欠く
メロン「アールス」は12月、「GoToキャンペーン」の活況により、上位等級を中心に引き合いが強まり、歳暮需要も加わり高値で推移。だが、年が明けて環境は一変した。中旬(19日まで)の日農平均価格は1キロ799円と平年の32%安で、同4割安を付けた日もある。東京都中央卸売市場大田市場では、初市以降、静岡産の高値が1キロ4320円と止め市の半値に急落し、一時は同3240円まで下げた。
卸売会社は「正月に百貨店や果実専門店に客足が向かず弱含みとなる中、再発令が重なった。ホテルやレストランが営業縮小し、売り先がない。低価格帯を中心にスーパーに売り込むが、上位等級と下位等級の価格差が縮まっていく」と厳しい展開を見通す。
加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
小物商材も厳しい販売を強いられている。大葉は、1月中旬の日農平均価格が1キロ1690円。元々需要が減る時期ではあるものの、平年の28%安と低迷が顕著だ。
産地は前回の宣言時、巣ごもり需要で好調だったスーパーに販路を切り替えた。ただ、「今回はスーパーからの注文は勢いを欠き、相場を下支えし切れない」(卸売会社)情勢だ。
主産地を抱えるJAあいち経済連は「業務筋が大半を占める契約取引分の販路を新たに確保しないといけない」と説明。春の需要期の販売も見据え、コロナの早期収束を望んでいる。
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2021年01月20日

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加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
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2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(中) 国際協力から転身 「まず農家に」 地に足着け精進
吹き抜ける風が肌寒さを増した2020年11月下旬、水戸市にある日本農業実践学園の講義用あずまやで、多品目の野菜農家を目指す吉田誠也さん(30)が、パソコンに野菜の生育データを打ち込んでいた。背後には自身で種から育てた10品目の畑が広がる。
東京大学大学院で植物のバイオテクノロジーや分子生物学を修め、昨春から海外で農業の国際協力に携わるつもりだった。「半年前まではここにいるとは想像できなかった。でも、本当はこれが本来の順序。急がば回れで、新型コロナウイルス禍で僕は農家への道に踏み出す決断ができた」
入校者数が右肩下がりを続けていた実践学園は、研修生がゼロとなった19年度と打って変わり、20年度は18人が入校した。
2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(上) コロナで体感「農業っていい」 多業種から入校生 日本農業実践学園
0度近くまで冷え込んだ晩秋、丘陵地のビニールハウスの中は春のような暖かさで、イチゴの白い花の周りには蜜蜂の羽音が響いていた。「蜂が近くに来ても払わないで。攻撃されるかもしれないから」。水戸市の郊外、新規就農者の専門学校「日本農業実践学園」の研修施設。2カ月前に入校し、1年後にイチゴ農家として独立を目指す小林克彰さん(39)が、実習作業の手伝いに来た妻の瞳さん(37)に語り掛けた。
克彰さんは、芸能人のホームページやコンサート情報を制作していた自営のウェブデザイナーだった。会社員だった30歳の頃、副業として会社が認めていた個人受注が増え、独立を決意した。2年前に工業デザイナーの瞳さんと結婚し、埼玉県三郷市に居を構えた。克彰さんが自宅で仕事、瞳さんが会社勤め、2人の生活は順風だった。
2021年01月19日

緊急事態下、切り花低迷 葬儀縮小し輪菊平年の半値
政府の緊急事態宣言再発令を受け、業務や仏花で使う切り花の相場が大きく下落している。主力の輪菊は平年の半値近くで、カーネーションやスターチスなど他の仏花商材も低迷する。都内卸は「葬儀の縮小が加速して業者からの引き合いが弱く、小売店の荷動きも鈍い」とし、販売苦戦の長期化を警戒する。
日農平均価格(全国大手7卸のデータを集計)を見ると、年明けから軟調だった輪菊の相場は、東京など4都県で緊急事態宣言が発令された後の11日以降、一段と下げが進んだ。11都府県への拡大が決まった13日には1本当たり28円と、昨年4月の宣言発令時以来、9カ月ぶりに30円を割った。15日は35円とやや戻したが、平年(過去5年平均)比28円(45%)安と振るわない。
15日の市場ごとの相場も、前市から小幅に反発した東京こそ39円だったが、大阪と名古屋で27円となるなど、大消費地を抱える宣言発令地域での低迷が目立つ。
輪菊の主産地のJA愛知みなみは「上位等級の値が付かず、平均すると平年より1本当たり30~40円安い。需要の落ち込んだ状況が続けば、来年度は定期契約で販売できる量が減り、作型の変更も検討しなければならない」と訴える。
黄菊の主産県のJAおきなわも「直近まで冷え込みが強く、例年より出荷量が少ないのに相場は上向かない」と、白菊の低迷が黄菊にも影響していると実感する。
スーパーの加工束向けも低調だ。「花持ちする時季で、店の仕入れも進まない」(都内卸)。スターチスは平年比3割安、カーネーションやLAユリは同2割安など、仏花の相場低迷が深刻だ。切り花全体の平均価格も56円と過去5年で最安水準で推移。入荷量は平年以下だが、行事の中止や縮小で需要が減少し供給過多となっている。
別の都内卸は「輪菊は供給量が落ち着けば相場をやや戻す。しかし需要は当面戻らないので、安値の展開は避けられない」と、苦しい販売環境を見通す。
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2021年01月16日
農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。昨年もコロナ禍による入国制限で3~9月に技能実習生ら約2900人が来日できず、人手不足となる農業経営が出ている。
野上農相は会見で「今後、日本にいる技能実習生らの在留延長や他産業からの雇用などによる代替人材の確保が必要になっていく」と指摘。代わりの人材の確保に必要な経費を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」を通じて、生産現場を支える考えを示した。
政府は14日から緊急事態宣言の解除まで、例外的に認めていた技能実習生らビジネス関係者も含めて外国人の新規入国を一時停止している。
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2021年01月16日

実習生ら対象 外国人入国停止 人手不足深刻化も
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は14日、ビジネス関係者らに例外的に認めていた外国人の新規入国を一時停止した。この例外措置の対象には技能実習生も含まれており、昨年11月から今月10日までにベトナム、中国などから実習生約4万人が入国していた。入国制限で生産現場の人手不足に拍車がかかる可能性があり、農水省は影響を注視している。
農水省 支援活用促す
政府は、コロナの水際対策の入国制限を昨年10月に緩和し、全世界からのビジネス関係者らの入国を再開。感染再拡大を受けて12月28日には一時停止したが、中国や韓国、ベトナム、ミャンマーなど11カ国・地域のビジネス関係者らの入国は例外的に認めていた。だがこの措置も14日から、宣言解除予定の2月7日まで停止した。
この例外措置の対象には技能実習生も含まれる。出入国在留管理庁の統計によると、例外措置で入国したのは、昨年11月から今年1月10日までに10万9262人。うち技能実習生は4万808人で、全体の37%を占める。留学などを上回り、在留資格別で最多だった。
国別に見ると、ベトナムが3万6343人、中国が3万5106人で、うち技能実習生はベトナムが2万911人、中国が9322人。農業分野の技能実習生も含まれるとみられる。11カ国・地域に限定後の12月28日~1月10日にも、技能実習生として計9927人が入国している。
農水省は、農業にも影響が及ぶ可能性があるとみる。昨年3~9月は2900人の技能実習生らが来日できず、人手不足が問題となった。今年の見通しは不透明だが、「外国人を受け入れている経営は全国的に多い」(就農・女性課)として状況を注視する。一方、同省は技能実習生の代替人材を雇用したり、作業委託したりする際の労賃などを一定の水準で支援する「農業労働力確保緊急支援事業」の対象期間を3月末まで延長。農家らに活用を呼び掛ける方針だ。
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2021年01月15日
[新型コロナ] 緊急事態追加発令 7府県、栃木・福岡も 政府決定
政府は13日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を追加することを決めた。発令済みの首都圏4都県と合わせ11都府県に拡大。発令地域の人口は7000万人超で、飲食店への営業時間短縮要請による農産物の需要減少などの影響が広がる可能性がある。
全国拡大には慎重
首都圏4都県以外の都市部でも感染拡大が止まらないことを踏まえた。……
2021年01月14日
[新型コロナ] 営業短縮飲食店の取引先 最大40万円支援
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令を受け、梶山弘志経済産業相は12日の閣議後記者会見で、営業時間の短縮要請に応じた飲食店の取引先に給付金を支給すると発表した。時短の影響などで1月か2月の売上高が前年同月比で半分以下に減った場合に、中堅・中小企業は40万円、個人は20万円を上限に支払う。JAや卸売業者などを通じて間接的に取引する農家も対象に想定する。……
2021年01月13日

緊急事態宣言 ガイドライン順守を コロナ感染防止で農水省
農水省は緊急事態宣言の再発令を受け、農家に新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた業種別ガイドラインの順守を呼び掛ける。ガイドラインは大日本農会のホームページに掲載。日々の検温や屋内作業時のマスク着用、距離の確保などの対策をまとめている。感染者が出ても業務を継続できるよう、地域であらかじめ作業の代替要員リストを作ることも求める。
ガイドラインは①感染予防対策②感染者が出た場合の対応③業務の継続──などが柱。予防対策では、従業員を含めて日々の検温を実施・記録し、発熱があれば自宅待機を求める。4日以上症状が続く場合は保健所に連絡する。
ハウスや事務所など、屋内で作業する場合はマスクを着用し、人と人の間隔は2メートルを目安に空ける。機械換気か、室温が下がらない範囲で窓を開け、常時換気をすることもポイントだ。畑など屋外でも複数で作業する場合は、マスク着用や距離の確保を求める。
作業開始の前後や作業場への入退場時には手洗いや手指の消毒を求めている。人が頻繁に触れるドアノブやスイッチ、手すりなどはふき取り清掃をする。多くの従業員が使う休憩スペースや、更衣室は感染リスクが比較的高いことから、一度の入室人数を減らすと共に、対面での会話や食事をしないなどの対応を求める。
感染者が出た場合は、保健所に報告し、指導を受けるよう要請。保健所が濃厚接触者と判断した農業関係者には、14日間の自宅待機を求める。保健所の指示に従い、施設などの消毒も行う。
感染者が出ても業務を継続できるよう、あらかじめ地域の関係者で連携することも求める。JAの生産部会、農業法人などのグループ単位での実施を想定。①連絡窓口の設置②農作業代替要員のリスト作成③代行する作業の明確化④代替要員が確保できない場合の最低限の維持管理──などの準備を求める。
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2021年01月09日