中国に諫議(かんぎ)大夫という官職があった

 中国に諫議(かんぎ)大夫という官職があった。天子を諫(いさ)めるのが役目である▼有名なのは唐の第2代皇帝・太宗の側近、魏徴(ぎちょう)だろう。唐の基礎を築き名君とされる太宗も、即位から十数年たつとぜいたくで気ままになった。そこで魏徴は諫言を記した文書を送った▼軽々しく人民を労役に使用、好き嫌いで人材を登用、臣下の粗略な扱い…。10の過失を並べた。商工業ばかり盛んにし、農業をなおざりにしているというのもある。太宗はどうしたか。過ちを改めることを約束し、これらの言葉をびょうぶに仕立てて朝夕見ることにした。太宗の言行録『貞観(じょうがん)政要』にある。度量が大きい▼立命館アジア太平洋大学長の出口治明さんは、自著『座右の書「貞観政要」中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』で「(太宗は)諫言を聞き入れることで、裸の王様にならないように努めた」と評す。童話では「王様は何も着ていない」との群衆の声に、王様も「自分は裸ではないか」と思いながらも行列を続けた。威厳を守るために。先の大戦で日本の指導者は必敗の情勢になっても戦争を続け、犠牲者をいたずらに増やす一方、和平への動きを弾圧した▼為政者が「諫言の士」と「聞く耳」を持たねば、国は危うい。安倍政権では「忖度(そんたく)の士」が目立った。菅政権は大丈夫だろうか。
 

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