コロナ禍で需要減…食ロス増の恐れ 「もったいない」を新たな販路に 通販サイト、加工業者が一役

通販向けの牛肉を用意するあかまる牛肉店の従業員(鳥取県倉吉市で=同社提供)

産地は在庫解消に安堵


 新型コロナウイルスの感染拡大で外食需要が低迷し、農畜産物の売り先が縮小する中、食品ロス削減を目指す企業が販路確保に一役買っている。インターネット通販や加工品の販売で、苦戦しているブランド農産物の新たな需要を開拓。厳しい状況にある小売店や農家から、安堵(あんど)の声が上がる。
 

 鳥取和牛を専門に扱う鳥取県倉吉市のあかまる牛肉店。コロナ禍で自社の飲食店の需要や取引先の注文が激減したが、新たな販路として見つけたのが食品ロス削減を目指す通販サイト「クラダシ」だ。通常価格から一定額を割引した価格で販売するもので、中には4割程度安い商品もあるが、9月下旬に出品して以降、想定の4倍の注文があった。


 あかまる牛肉店の4、5月の売り上げは前年比9割減で、9月以降も5割減という苦境が続いており、在庫も積み上がっていた。鳥飼賢吾店長は「食品ロスは絶対に出したくない。在庫が増え続けていたら、どうなっていたか」と振り返る。

 クラダシは、売り先がなくなった食材と消費者を結び付けることを目的に、2015年からサービスを開始。「もったいないを価値へ」というキャッチフレーズを掲げ、現在は10万人が登録する。JA全農など約800団体が協賛し、売り上げの3%を地方創生や社会福祉を支援する団体に寄付している。

 クラダシに登録する消費者はこの半年で2万人増えた。「コロナ禍の打撃を受ける農業を支えたい」という人が増えているという。同社は「売り先を変えれば需要は生まれる。食品ロスを防ぐには供給側と消費者をつなぐことが大事」と指摘。鳥飼店長は「『もったいない』という価値観を持った消費者とつながることができた。これを機に鳥取和牛の通販を強化したい」と意気込む。

 食品ロス削減を目的とした販売事業を手掛けるデイブレイク(東京都品川区)は、新型コロナ禍で売り先がなくなるなどした国産果実の加工・販売をしている。イチゴとサクランボを独自ブランド「ヘノヘノ」として商品化。特殊な冷凍技術で、生の風味を持たせたままサクサクとした触感が特徴の商品に仕上げる。

 サクランボは6月に長野県の農家13人から計408キロを引き受け、完売した。農家の一人、長野県松川町の鈴木章弘さん(46)は、通常は観光農園に全量を仕向けていたが、新型コロナの影響で利用客が激減した。「新たな販売先が見つかり、かなり助かった」と実感する。
 

ロス削減 政府目標に遠い現実


 10月は「食品ロス削減月間」。政府は優良食品事業者を公表するなどして啓発に努めるが、削減目標との差は埋まっていない。コロナ禍で売り先を失った食材の廃棄を食い止めなければ、食品ロスが増える恐れがある。

 政府は2030年度までに、外食産業などに関連する食品ロスを2000年度の半分相当の273万トンに減らす目標を立てる。しかし17年度時点でも328万トンに上っており、一層の削減が必要だ。

 コロナ禍での食品ロス削減に向けて、農水省は食品関連企業とフードバンクのマッチングを支援。9月末時点で115件の食材供給が成立した。食品事業者を対象に在庫解消につながるインターネット販売の送料を助成する事業には、80以上の事業者が活用する。

 同省は「消費側と食材の供給側をつなぎ、食品ロスを回避できるよう引き続き支援する」(政策課)構えだ。
 

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