世界食料デー 飢餓撲滅へ行動しよう

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大は食料供給を混乱させ、飢餓を悪化させている。栄養のある食料を十分に食べられることは、最も重要な基本的人権である。世界の隅々に食料が行き渡るよう各国は協力し合うべきだ。それは、世界食糧計画(WFP)のノーベル平和賞受賞のメッセージでもある。

 今日16日は、国連が定めた世界食料デー。全ての人々への食料確保の必要性について、意識喚起と行動を促すのが目的だ。世界では7億人近くが飢餓に苦しんでいる。過去1年で1000万人増えた。気象災害やバッタの大発生、地域紛争などが貧しい人々に追い打ちをかけた。

 WFPなどが食料援助を続けているが、今年は新型コロナの感染拡大で新たに8300万人から1億3200万人が飢餓に陥ると国連は予測する。世界の穀物生産は増えてきたが、貧困地域には行き渡っていない。この「食の格差」を新型コロナが直撃し、景気後退による購買力の低下や食料供給網の混乱などが起きた。多くの地域で食料備蓄が底を突き始めているとの報告もある。援助を急ぐべきだ。

 コロナ禍で自国民への供給を優先し、輸出を規制する国が相次ぎ、世界の食料供給は一時混乱した。農水省の調べでは、これまで20の国と地域が輸出規制に踏み切り、6カ国が今も続ける。穀物の国際相場も上昇の兆しを見せ、貧困国の食料確保を一層難しくしている。

 将来的な食料不安も高まっている。2050年に100億人に迫るとされる世界の人口を養うには、食料生産を約50%増やす必要があると国連食糧農業機関(FAO)などはみる。だが地球温暖化が増産を阻む。農研機構などの研究グループの試算では、世界の平均気温が2度上昇すると穀物生産に年間800億ドル(8兆4000億円)の被害が出る。米国とブラジルの大豆生産額に匹敵する規模だ。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2度どころか、21世紀末までに最悪で4・8度上昇するとみる。その上に、新型コロナのような感染症で流通が滞れば、世界の食料供給が大混乱に陥るのは歴然だ。

 今われわれには取り組むべきことがある。WFPや非政府組織(NGO)などへの寄付や食料提供といった支援もそうだ。併せて温室効果ガスの削減はもちろん、農畜産物をできるだけ自国で賄うことだ。日本をはじめ食料純輸入国が食料自給率を引き上げれば、穀物相場の上昇要因の削減につながる。食生活の見直しも大切だ。日本は食料の6割近くを輸入しながら、食べられるのにごみとして捨てる「食品ロス」が年間600万トンを超す。多くの人が飢餓で苦しんでいるのに、こんなことが許されるはずはない。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、30年までに飢餓に終止符を打ち、持続可能な農業を推進するとしている。日本の姿勢が問われている。
 

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