地域貢献ツアーいかが 協力隊員が商品開発 わな設置、ジビエ体験 関係人口増へ発信

有害鳥獣捕獲のワークショップでわなについて説明する黒澤さん(手前右)(千葉県鋸南町で=黒澤さん提供)

 地域おこし協力隊員の経験を経て、「地域のためになる」旅行商品に取り組む人たちが奮闘している。比較的登録のハードルが低い地域限定旅行業として、都市住民向けに有害鳥獣対策をテーマにしたツアーなどを企画。「関係人口」を増やすことで地域活性化につなげる考えだ。

 千葉県鋸南町地域おこし協力隊の黒澤徹さん(53)は任期満了となる11月以降、地域限定旅行業の仕事を始める。地域限定旅行業は都道府県知事が認める業態で、現地集合・現地解散のような、限られた地域での旅行商品を扱う。

 契約社員として籍を置く、行政の獣害対策を支援するAMAC(エーマック=千葉県佐倉市)の鋸南営業所を拠点に、鋸南町と隣接する鴨川市、富津市、南房総市を対象に、地域の魅力を生かした旅行商品を提供する。

 猟師組織の案内によるけもの道のトレッキング、有害鳥獣の捕獲わなや侵入防止柵の設置体験、捕獲したイノシシや鹿の解体、肉を使ったジビエ(野生鳥獣の肉)料理作りなどを想定している。

 黒澤さんは山登り専門の旅行会社に勤務していたが、田舎暮らしにあこがれ50歳の時に会社を退職。2017年11月に協力隊員として同町に着任した。

 同町は15年の国勢調査では人口減少率が千葉県内トップの10・4%、高齢化率が同2位の43・6%。農家も経営規模を縮小しており、耕作放棄地が増えて有害鳥獣被害も増えた結果、農家の耕作意欲が低下。鳥獣の生息地や個体数がさらに増えるという「負のスパイラル」に陥っていた。

 この状態を抜け出すため、黒澤さんは有害鳥獣に関心のある都市住民向けに「狩猟エコツアー」などを企画。獣害対策の三本柱とされる「下草の刈り払い」「防護柵設置」「有害鳥獣捕獲」のワークショップなどを開いてきた。

 旅行業を始めた背景には、会社員時代に「観光は旅行先の地域のためになっているのか」と疑問を持ったことがある。「獣害対策には町外の人に関わってもらうことが必要。都市から人を呼び込むツアーにすれば“地域が潤う旅行”になる」と考えた。ツアーやワークショップで「関係人口」を増やし、将来的な町内への移住・定住、観光業による雇用創出──という将来像を描く。

 黒澤さんは「関係人口を増やして地域振興につなげ、鋸南モデルとして全国に発信したい」と強調する。
 

人の魅力 感じる旅に


 新潟県十日町市で地域限定旅行業の「HOME away from HOME Niigata」を立ち上げ、地域に根差した観光ツアーを手掛けるのが井比晃さん(36)だ。

 広告会社勤務時代に仕事で訪れた十日町市の風土に引かれ、15年に同市の地域おこし協力隊になった。

 東京で市のプロモーションをした際、地域の女性による郷土料理の披露や、着物のリメークによるファッションショーが好評だった。「そこに住む人そのものが市の魅力だ」と思うようになり、旅行会社を立ち上げる契機となった。

 同社は地域住民と共に過ごす宿泊旅行などを提供している。「3年間の協力隊で培った人脈が、観光企画には役立っている」という井比さん。新型コロナウイルス禍の影響は甚大だが「地域に寄り添った企画で事業を広げたい」と意欲を燃やす。
 

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