“パラレルノーカー” 別の仕事しながら…農業もしよう 多様な担い手育成へ JAグループ北海道

自他共に認めるパラレルノーカーの寿香さん(右から2人目)。家族にデザインしたちらしを紹介する(旭川市で)

 JAグループ北海道は、“半農半X”をはじめ別の仕事をしながら農業もする人を「パラレルノーカー」と位置付け、多様な担い手として育成を目指す。規模拡大が進む北海道で、専業農家だけでなく、農業のファンの裾野を広げる新たな提案だ。農水省も食料・農業・農村基本計画で、多様な働き方をする人を支えることを明記したが、それに先駆けた動きだ。

 北海道旭川市。自他共に認めるパラレルノーカーで、デザイナーの坂井寿香さん(36)は「専業だけでなくいろんな農業への関わり方があってよい。うちはパラレルノーカーの“たまり場”」と笑顔で話す。

 坂井さんの夫、恵一さん(38)は、米やミニトマトなどを栽培する専業農家。子どもの同級生の親やゲストハウスを営む移住者らが、好きな時間に農場に来て農作業を手伝う。それぞれ主業は別にあるが、農業もする人たちだ。作業する時間帯などの決まりはなく、自由に集まる。

 寿香さんも、デザイナーの傍ら月に数回手伝う程度だ。それでも、そんな寿香さんの生き方を義理の両親も夫も尊重してくれている。もともとは広告代理店で働き、3人の子どもを育てながらデザインの仕事をし、情報雑誌やパンフレットを手掛けてきた。仲間が開業したレストランも手伝っているため、寿香さんは忙しい日々だ。

 恵一さんは「農業だけをやらなくてもよい。専業農家も、少しだけ働きたい人も、半分農業やる人も、みんなが互いを認め合う。その方が絶対、楽しいし明るい」と実感する。

 パラレルノーカーは、一つの仕事だけでなく、いろいろな仕事をする「複業」「多業」「副業」を意味するパラレルワーカーをもじった造語だ。JAグループ北海道は「農業をする時代から農業もする時代へ」とし就農以外にも多様な農業の関わり方があることを周知している。新型コロナウイルス禍で時差出勤やテレワークなど働き方が多様化する中、食と農をつなげる働きかけが必要だと提案を始めた。

 7月からPRし、道内の若者や農業・農村に関わる人たちに少しずつ浸透してきた。JA北海道中央会は受け皿となる農家にも、パラレルノーカーを知ってもらえるよう力を入れる。

 農水省は、新たな基本計画で、都市農村交流や農村定住などの動きについて、「田園回帰による人の流れが全国的な広がりを持ちながら継続している」と記述。幅広い人が農業を担うことを前提に、施策を推進する考えだ。

 JAグループ北海道は、産業政策と地域政策を両輪とし、専業農家の育成だけでなく、パラレルノーカーの輪を広げる方針。今後は農業に関心がある人にどう接点を多く設けられるかが課題だという。JA北海道中央会の小野寺俊幸会長は「自給率向上は、農家のファンを広げることの積み重ねで実現できる。パラレルノーカーを通じて、農と関わるきっかけを広げたい」と強調する。
 

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